2021年9月8日水曜日

生活不活発病(廃用症候群)とは

生活不活発病とは,身体を動かさないことで心身機能が低下することをいいます。


学術的には,廃用症候群といいますが,「廃用」というイメージがよくないために,生活不活発病という言葉が作られました。


国家試験では,生活不活発病と出題されることがほとんどないので,廃用症候群で覚えましょう。


国家試験の出題パターンで最も多いのは,


変形性関節症は,廃用症候群である。


といったタイプのものです。


変形性関節症は,関節の軟骨がすり減ることで,関節が変形していくものです。


廃用症候群は,体を動かさないことで生じるものです。


膝が変形する変形性膝関節症のために体を動かさなくなり廃用症候群を引き起こすことがあります。


しかし,変形性膝関節症は,廃用症候群とはいいません。


廃用症候群は,

・関節拘縮

・筋萎縮

・起立性低血圧 

などを引き起こします。


それでは今日の問題です。


第22回・問題2 高齢者や老化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 加齢に伴って生理低下機能が顕著となる器官は,心臓である。

2 高齢者の難聴は,高音領域から始まる。

3 高齢者の「寝たきり」の原因で最も多い疾患は,骨粗しょう症である。

4 高齢者の死因の第1位は,脳血管疾患である。

5 廃用症候群の一つに変形性関節症がある。


変に考えなければまったく難しくない問題です。


勉強したことがない人でも正解できる問題かもしれません。


それでは解説です。


1 加齢に伴って生理低下機能が顕著となる器官は,心臓である。


心臓は,加齢によって機能が低下しにくい臓器の代表です。


心臓病の多くは,加齢によるものではなく,生活習慣によって引き起こされます。


加齢によって機能が低下するのは,肺や腎臓などです。


2 高齢者の難聴は,高音領域から始まる。


これが正解です。


高齢者が高い音が聞き取りにくくなることは,よく知られているのではないでしょうか。


子どもなら,20,000ヘルツの音も聞こえますが,高齢になるとだんだん高い音は聞こえなくなります。


それに比べると低い音を聞き取る力はそれほど低下しません。


3 高齢者の「寝たきり」の原因で最も多い疾患は,骨粗しょう症である。


高齢者の寝たきりで,最も多いのは,長く脳卒中でしたが,現在は認知症が最も多くなっています。


4 高齢者の死因の第1位は,脳血管疾患である。


高齢者の死因の第1位は,悪性新生物です。


5 廃用症候群の一つに変形性関節症がある。


今日のテーマの問題の登場です。


変形性関節症は,廃用症候群ではありません。


<もう一問にチャレンジ>


第30回・問題7 廃用症候群に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 関節拘縮は起こりにくい。

2 筋の萎縮は起こりにくい。

3 高齢者では起こりにくい。

4 起立性低血圧が起こりやすい。

5 急性期リハビリテーションで離床を早期から行うことで起こりやすい。


正解はすぐわかりますね。


4 起立性低血圧が起こりやすい。

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