人は強いストレスを受けると心身の健康に影響を与えます。
無意識的にストレスを解消する「防衛機制」
意識的にストレスを解消する「コーピング」
がよく知られています。
防衛機制に関する主な記事
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/31_27.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/06/blog-post_5.html
今回は,コーピングを学びたいと思います。
コーピングには,2つの種類があります。
ストレスの原因となるものを解消しようとすること → 問題焦点型コーピング
ストレスを感じないようにすること → 情動焦点型コーピング
例えば,人間関係でストレスを感じているとき,
その人と仲良くなろうとするのは,問題焦点型コーピングです。
仲の良い友達と食事に行ってストレスを発散するのは,情動焦点型コーピングです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題11 ストレスに関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 ストレスへの対処方略として,不快な情動のコントロールを目的とするものを問題焦点型コーピングと呼ぶ。
2 ストレスへの対応は,ストレスの原因自体を減らすことを中心に行うことが望ましいと考えられている。
3 ストレスの緩和には,情緒的支援,仕事の分担,経済・物質・技術の提供といった心理教育的アプローチが有効である。
4 ストレスが誘因となって生じる症状には,過換気症候群や過敏性腸症候群などがある。
5 非常に強いストレス状況に暴露された後,数か月にわたってフラッシュバックなどを体験する状態は,急性ストレス反応と呼ばれる。
社会福祉士の国試の問題は,文章を理解しながら解くことが求められます。
緊張感にあふれた国試会場で冷静に問題を読むことは,決して簡単なことではありません。
極端なことを言えば,冷静に問題を読むことができる人は合格し,冷静に問題を読むことができない人は不合格になります。
この問題の答えは,びっくりするほど単純なものです。
しかしそれを選び取ることは,そんなに簡単ではないのが国家試験です。
それでは解説です。
1 ストレスへの対処方略として,不快な情動のコントロールを目的とするものを問題焦点型コーピングと呼ぶ。
コーピングのうち,不快な情動のコントロールを目的とするものは,情動焦点型コーピングです。
2 ストレスへの対応は,ストレスの原因自体を減らすことを中心に行うことが望ましいと考えられている。
ストレスの原因自体を減らすことは,問題焦点型コーピングです。
問題焦点型コーピングも情動焦点型コーピングもそれぞれに意味があります。
3 ストレスの緩和には,情緒的支援,仕事の分担,経済・物質・技術の提供といった心理教育的アプローチが有効である。
心理的サポートは,4つに整理されます。
情緒的支援 → 情緒的サポート
仕事の分担,経済・物質・技術の提供など → 道具的サポート
クライエントを肯定すること → 評価的サポート
情報提供 → 情報的サポート
心理教育的アプローチは,クライエントやその家族などに対して心理教育を行うものです。
情緒的支援,仕事の分担,経済・物質・技術の提供は,心理教育的アプローチではありません。
4 ストレスが誘因となって生じる症状には,過換気症候群や過敏性腸症候群などがある。
これが正解です。
過換気症候群は,息苦しくなるものです。
過敏性腸症候群は,おなかが痛くなるものです。ストレスが心身の症状に現れる心身症の代表です。
5 非常に強いストレス状況に暴露された後,数か月にわたってフラッシュバックなどを体験する状態は,急性ストレス反応と呼ばれる。
数か月にわたってフラッシュバックなどを体験する状態は,心的外傷後ストレス障害(PTSD)です。
急性ストレス障害も心的外傷後ストレス障害も症状は同じですが,症状が現れる時期が異なります。