参考書などには,スキャモンの発達・発育曲線が載っていると思います。
それによると身体の成長は,リンパ系型,神経系型,一般形,生殖器系型に分けられます。
ここでは図は示さないので,それぞれ確認していただきたいと思います。
今回から紹介する問題は,グーンとさかのぼって,第22回国家試験で出題された問題を取り上げていきたいと思います。
今回,紹介する問題は,スキャモンの発達・発育曲線が取り上げられるようになったきっかけとなった問題です。
第22回・問題1 身体の正常な成長・発達に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 大泉門は,生後6か月までに自然に閉鎖する。
2 すべての原始反射は,生下から認められ幼児期には消失する。
3 受精後8週目を過ぎると,人としての基本的生理機能を担う器官の形成期に入る。
4 学童期から青年期における顕著な身長の伸びには,成長ホルモンが関与している。
5 脳や感覚器官は,生後から成人まで穏やかなS字カーブを描いて成長する。
過去問と本試験を比べると,本試験のほうが格段に難しく感じると思います。
なぜなら,参考書は過去に出題された問題から作られているからです。
おそらくこの問題が出題される前までは,参考書にスキャモンは載っていなかったのではないかと思います。
しかし,今は載っています。
国家試験は,多くの人が思っているよりも正解するのは難しくありません。
それを余計なことを考えると底なし沼に陥ります。
さて,この問題の正解は,
4 学童期から青年期における顕著な身長の伸びには,成長ホルモンが関与している。
勉強せずとも多くの人が知っているような内容が正解となっていると思いませんか。
これが国家試験です。
しかし,国家試験は,5つの選択肢で構成されるために,ほかの選択肢に惑わされます。
そこに惑わされると正解することは難しくなります。
先に書きましたが,今はこのほかの内容も参考書には触れられていることでしょう。
しかし,国家試験では,そういう手がかりがなく解かなければなりません。
重要なことは,直感を信じることです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 大泉門は,生後6か月までに自然に閉鎖する。
大泉門が閉鎖するのは,1歳半頃までです。
2 すべての原始反射は,生下から認められ幼児期には消失する。
今の国家試験では「すべて」という言葉は極力使わないように出題される傾向があります。
多くの人は,「すべて」や「のみ」は正解になりにくいことを知っているからです。
原始反射は,生まれる前から生じています。そして乳児期には消失します。
3 受精後8週目を過ぎると,人としての基本的生理機能を担う器官の形成期に入る。
人としての基本的生理機能を担う器官の形成期は,受精後4週目を過ぎた頃からです。
5 脳や感覚器官は,生後から成人まで穏やかなS字カーブを描いて成長する。
脳などは神経系型に分類されるものです。
神経系型の特徴は,生まれてから急激に成長していき,早い時期に成人と同じレベルまでに達することです。
ここでいうS字カーブを描くのは,身長や体重などの「一般系型」です。
乳幼児期に成長し,思春期にまた成長するからです。
<今日の一言>
国試は意外と意地悪ではない
それを変に疑うと底なし沼に陥るので注意が必要です。