2021年9月18日土曜日

心理検査に関する出題~特にパーソナリティ検査

パーソナリティ検査(心理検査)に関する出題は,第22回国試以降では以下のように出題されています。


第22回

第27回

第31回


現在は,心理の専門職である公認心理師が国家資格として誕生したこともあり,連携のこともあり,出題内容が少しずつ変化していくかもしれません。


それが第33回・問題13です。


第33回・問題13 心理検査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 特別支援学級への入級を検討したい子どもの知能検査を学校から依頼されたので,ロールシャッハテストを実施した。

2 改訂長谷川式簡易知能評価スケールの結果がカットオフポイントを下回ったので,発達障害の可能性を考えた。

3 10歳の子どもに知能検査を実施することになり,本人が了解したので,WAIS-Ⅳを実施した。

4 投影法による性格検査を実施することになったので,矢田部ギルフォード(YG)性格検査を実施した。

5 WISC-Ⅳの結果,四つの指標得点間のばらつきが大きかったので,全検査IQ(FSIQ)の数値だけで全知的能力を代表するとは解釈しなかった。


ここでは,パーソナリティ検査を含めた心理検査について出題されています。


難しそうに思う問題かもしれませんが,答えは選択肢5なので,実は正解するのはそんなに難しくない問題です。うまい出題だと思いませんか。


心理検査には,パーソナリティ検査や発達検査,知能検査も含まれます。


そのうちのパーソナリティ検査は,種類がたくさんありますが,社会福祉士国試に出題されるものは,限定的です。


検査方法により

・質問紙法

・投影法

・作業検査法


に分類することができます。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題12 矢田部ギルフォード(YG)性格検査の5つの性格類型に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 A型は,情緒が安定し,行動が積極的であり,リーダーに向いている。

2 B型は,情緒が不安定で,行動が消極的であり,引っ込み思案である。

3 C型は,情緒が安定し,行動が消極的であり,リーダーとして他人を引っぱっていく力は弱い。

4 D型は,情緒の安定性や行動の積極性が平均的であり目立った偏りは見られないが,主導性は弱い。

5 E型は,情緒が不安定で,行動が積極的であり,対人関係の面で問題を起こしやすい。


こういった問題は,もう出題されないかもしれません。


YG検査は,A型からE型まで5種類あるので,5択の国家試験には向いているはずですが,それ以前もその後の分類の詳細は出題されていないからです。


しかし,念のために簡単に覚えておきたいです。


A型からE型の分類は,実はとても覚えやすいです。それぞれ意味がつながっているからです。


A型:アベレージタイプ

B型:ブラックリストタイプ

C型:カルムタイプ  ※カルムとはもの静かという意味です。

D型:ディレクタータイプ

E型:エキセントリックタイプ


このうち,情緒が不安定なのは,B型とE型です。

この違いは,行動です。行動が積極的なのはB型です。


そのために問題を起こしがちなのでブラックリストタイプなのです。


E型は,行動が非積極的です。エキセントリックとは,風変わりな,といった意味があります。


この情報のみで,今日の問題に当てはめてみます。


1 A型は,情緒が安定し,行動が積極的であり,リーダーに向いている。


情緒が安定し,行動が積極的であり,リーダーに向いている。

  ↓  ↓

ディレクタータイプ(D型)


2 B型は,情緒が不安定で,行動が消極的であり,引っ込み思案である。


情緒が不安定で,行動が消極的であり,引っ込み思案である。

  ↓  ↓

エキセントリックタイプ(E型)


3 C型は,情緒が安定し,行動が消極的であり,リーダーとして他人を引っぱっていく力は弱い。


情緒が安定し,行動が消極的であり,リーダーとして他人を引っぱっていく力は弱い。

  ↓   ↓

カルム型(C型)


つまりこれが正解です。


4 D型は,情緒の安定性や行動の積極性が平均的であり目立った偏りは見られないが,主導性は弱い。


情緒の安定性や行動の積極性が平均的であり目立った偏りは見られないが,主導性は弱い。

  ↓  ↓

アベレージタイプ(A型)


5 E型は,情緒が不安定で,行動が積極的であり,対人関係の面で問題を起こしやすい。


情緒が不安定で,行動が積極的であり,対人関係の面で問題を起こしやすい。

  ↓  ↓

ブラックリストタイプ(B型)


<今日の一言>


パーソナリティ理論には,類型論と特性論があります。


YG検査も実は,特性論に基づきますが,類型論のようにタイプに分けることができます。

そのため,わかりやすいこともあり,よく使われます。


しかし,心理検査だけでパーソナリティが判別できるわけではありません。

少しでも妥当性を高めるために,いくつかの心理検査を組み合わせて実施します。これをテストバッテリーといいます。

投影法や作業検査法が単体で実施されることがないのはそういった意味です。


しかしテストバッテリーを実施したとしても,そういった傾向がありそうだ,と言えるにとどまります。


心理検査には,発達検査などもありますが,その結果をもって,医師が診断することはありません。診断するときの参考にするのにとどまります。


医療現場では,心理検査の実施は診療報酬で評価されるので,とても重要です。

信頼性・妥当性を高めるように心理検査は開発されているためでしょう。


心理検査の解釈は,公認心理師などの心理職が行います。

社会福祉士に必要な知識は,どんな心理検査があり,どのように実施されるのか,といったことでしょう。


もし,また第33回の問題のように解釈に関する出題があったとしても,落ち着いて考えると答えが見えてくるように問題が作られるはずなので,心配することはありません。

仮に難易度が高いレベルの問題が出題されたとすれば,だれも解けないので,合格基準点が下がるだけです。何の心配もありません。ひたすら今までに出題された範囲のことを覚えていくのみです。

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