2021年9月14日火曜日

感覚・知覚に関する出題

心理学といってもさまざまな領域があります。


物理心理学,社会心理学,発達心理学など本当にさまざまあります。


しかし,出題されるものは,ほとんど繰り返しに近いと言っても良いレベルです。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題8 感覚・知覚に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 口を閉じた状態で,眼球を軽く圧迫すると明るさの変化を感じるのは,眼球圧迫が視覚に対する適刺激だからである。

2 2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異を,刺激閾という。

3 朝,暗い部屋で目覚めたときに,カーテンを開けると非常にまぶしいが,しばらく経つと普通に見えるようになるのは,暗順応の働きである。

4 滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いていように見えるのは,視覚の体制化とよばれる現象である。

5 映画のフィルムは1コマごとの静止画像なのに,連続して提示すると動いて見るのは,仮現運動によるものである。


この問題は,第22回国試で出題されたものですが,どことなく見たことがあるような内容だと思いませんか。


それでは解説です。


1 口を閉じた状態で,眼球を軽く圧迫すると明るさの変化を感じるのは,眼球圧迫が視覚に対する適刺激だからである。


適刺激とは,目は光,耳は音,鼻はにおいといったものです。


眼球圧迫は視覚に対する不適刺激です。


2 2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異を,刺激閾という。


2つの刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小差異は,弁別閾,あるいは丁度可知差異といいます。


刺激域とは,明るさや大きさなどを感知できる最小の値をいいます。


3 朝,暗い部屋で目覚めたときに,カーテンを開けると非常にまぶしいが,しばらく経つと普通に見えるようになるのは,暗順応の働きである。


朝,暗い部屋で目覚めたときに,カーテンを開けると非常にまぶしいが,しばらく経つと普通に見えるようになるのは,明順応です。


暗順応は,暗いところで目が慣れることをいいます。


4 滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いていように見えるのは,視覚の体制化とよばれる現象である。


滝をじっと見つめていて,その後に他の風景に目を向けると上方向に動いていように見えるのは,運動残光といいます。


視覚の体制化は,意味のないものをまとまりとして知覚することをいいます。


5 映画のフィルムは1コマごとの静止画像なのに,連続して提示すると動いて見るのは,仮現運動によるものである。


これが正解です。仮現運動は,映画やアニメーションの原理です。


<今日の一言>


第33回国試では,以下のような問題が出題されています。


第33回・問題9 知覚に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 外界の刺激を時間的・空間的に意味のあるまとまりとして知覚する働きを,知覚の体制化という。

2 明るい場所から暗い場所に移動した際,徐々に見えるようになる現象を,視覚の明順応という。

3 個人の欲求や意図とは関係なく,ある特定の刺激だけを自動的に抽出して知覚することを,選択的注意という。

4 水平線に近い月の方が中空にある月より大きく見える現象を,大きさの恒常性という。

5 二つの異なる刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小の差異を,刺激閾という。


今日の問題と一部同じ内容になっています。


正解は,選択肢1です。

1 外界の刺激を時間的・空間的に意味のあるまとまりとして知覚する働きを,知覚の体制化という。


国家試験は,本当に興味深いものです。

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