都道府県労働局は,「労働基準」「雇用安定」「雇用均等」に関する行政機関です。
労働基準に関する現業機関は,「労働基準監督署」です。
労働基準監督署は,労働基準法に違反する事業場に対する指導監督,労働者からの相談,労災保険の給付事務などを行っています。
雇用安定に関する現業機関は,「公共職業安定所(ハローワーク)」です。
ハローワークは,職業紹介,雇用保険の給付事務などを行っています。
雇用機会関する現業機関はありません。都道府県労働局の雇用均等室が業務を担当しています。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題145 事例を読んで,U障害者就業・生活支援センターのB支援担当者(社会福祉士)が考える連絡先として,次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
B支援担当者は,再就職を希望するCさん(25歳,男性)に対し,職業適性検査などを含め,就労準備の支援を継続していた。ある日,Cさんから,退職した前の会社に未払の残業代があり解決したいと相談があった。そこで,B支援担当者はその解決にふさわしい連絡先を考えている。
1 警察署
2 障害者職業能力開発校
3 都道府県労働局
4 福祉事務所
5 公共職業安定所(ハローワーク)
この問題は,ちょっとだけ考える必要があるように思います。
この中に「労働基準監督署」が含まれているなら,おそらく知識がない人でも答えられてしまいます。
そのために,一ひねりしてあるように思います。
とは言っても,消去法でも答えは出せるかもしれません。
正解は,選択肢3です。
3 都道府県労働局
前説のように,労働基準監督署は,都道府県労働局にある現業機関です。
<今日の一言>
今日の問題を読むと「答えがない問題だ。不適切な出題ではないか」と思う人もいるかもしれません。
しかし,それは間違っています。
この問題は「その解決にふさわしい連絡先」です。
その解決にふさわしい現業機関ではありません。
そのため,都道府県労働局が最も適切だということになります。
ここで覚えておいてほしいのは,国や地方公共団体の組織は,それぞれの専門性をもっていることです。
それぞれの業務が重ならないように組織されています。
そのために起きるのは,「たらいまわし」です。
対応が明確なものなら担当部署にすぐつながりますが,そうでないものはどこが担当してよいのかわからないために,たらいまわしという現象が起きます。
たらいまわしは,住民の不満につながるので,自治体によっては,総合的な相談窓口を設けていることもあります。
それぞれの組織が高い専門性をもっているということは,別の言い方をすると,それ以外のことは知らないということにつながるからです。
ということで,今日の問題は「都道府県労働局」以外にはあり得ません