国際生活機能分類(ICF)は,それまでの国際障害分類(ICIDH)に変わって,2001年に世界保健機関(WHO)が採択したものです。
早いもので20年も経ちます。
ICFは,人の健康のすべての側面を取り扱います。
そこが障害に焦点を当てたICIDHとの違いです。
〈ICFの構成〉
第1部:生活機能と障害
(a)心身機能と身体構造
(b)活動と参加
第2部:背景因子
(c)環境因子
(d)個人因子
〈ICFの各種定義〉
健康との関連において 身体構造とは,器官・肢体とその構成部分などの,身体の解剖学的部分である。 機能障害(構造障害を含む)とは,著しい変異や喪失などといった,心身機能または身体構造上の問題である。 活動とは,課題や行為の個人による遂行のことである。 参加とは,生活・人生場面への関わりのことである。 活動制限とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。 参加制約とは,個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのことである。 環境因子とは,人々が生活し,人生を送っている物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである。 |
ここには,書かれていませんが,個人因子は,性別,人種,年齢,その他の健康状態,体力,ライフスタイル,習慣,生育歴,困難への対処方法,社会的背景,教育歴,職業,過去および現在の経験などが含まれます。
簡単には,
体を動かすことは「活動」,体を動かして何かを行うことは「参加」という感じです。
しかし,明確には分けられないこともあります。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題4 国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。
2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。
3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。
4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。
5 活動と参加は,単一のリストに属している。
この問題の内容は,決して簡単ではありませんが,あることに気が付けば,正解するのはそれほど難しくはありません。
1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。
これが正解だと
3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。
これも正解になってしまいます。
2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。
これが正解だと
4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。
これも正解になってしまいます。
つまり,正しいものを一つ選ぶ問題なので,これらはあり得ません。
これらは,すべて活動と参加が入れ替えて作られています。
ということで,正解は,選択肢5です。
5 活動と参加は,単一のリストに属している。
<今日の一言>
今日の問題は,とても大胆な問題だと思います。
しかし,こういった問題はよく見られます。
必要なことは,入れ替えに気が付く程度の知識があることです。
一つ気が付けば,次々とつながっていきます。