2021年9月10日金曜日

国際生活機能分類(ICF)の用語

 国際生活機能分類(ICF)は,それまでの国際障害分類(ICIDH)に変わって,2001年に世界保健機関(WHO)が採択したものです。

 

早いもので20年も経ちます。

 

ICFは,人の健康のすべての側面を取り扱います。

 

そこが障害に焦点を当てたICIDHとの違いです。

 

〈ICFの構成〉

 

 第1部:生活機能と障害

(a)心身機能と身体構造

(b)活動と参加

 第2部:背景因子

(c)環境因子

(d)個人因子

 

 

〈ICFの各種定義〉

 

健康との関連において

  心身機能とは,身体系の生理的機能(心理的機能を含む)である。

 身体構造とは,器官・肢体とその構成部分などの,身体の解剖学的部分である。

 機能障害(構造障害を含む)とは,著しい変異や喪失などといった,心身機能または身体構造上の問題である。

 活動とは,課題や行為の個人による遂行のことである。

 参加とは,生活・人生場面への関わりのことである。

 活動制限とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

 参加制約とは,個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのことである。

 環境因子とは,人々が生活し,人生を送っている物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである。

 

ここには,書かれていませんが,個人因子は,性別,人種,年齢,その他の健康状態,体力,ライフスタイル,習慣,生育歴,困難への対処方法,社会的背景,教育歴,職業,過去および現在の経験などが含まれます。

 

 活動と参加の違いは,しっかり押さえておきたいです。

 

簡単には,


体を動かすことは「活動」,体を動かして何かを行うことは「参加」という感じです。

 

しかし,明確には分けられないこともあります。

 

それでは,今日の問題です。

 

22回・問題4 国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。

2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。

3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。

4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

5 活動と参加は,単一のリストに属している。

 

この問題の内容は,決して簡単ではありませんが,あることに気が付けば,正解するのはそれほど難しくはありません。

 

1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。

 

これが正解だと

 

3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。

 

これも正解になってしまいます。

 

2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。

 

これが正解だと

 

4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

 

これも正解になってしまいます。

 

つまり,正しいものを一つ選ぶ問題なので,これらはあり得ません。

 

これらは,すべて活動と参加が入れ替えて作られています。

 

ということで,正解は,選択肢5です。

 

5 活動と参加は,単一のリストに属している。


 

<今日の一言>

 

今日の問題は,とても大胆な問題だと思います。

しかし,こういった問題はよく見られます。

 

必要なことは,入れ替えに気が付く程度の知識があることです。

 

一つ気が付けば,次々とつながっていきます。

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