社会保険制度は,日本の社会保障制度の中心です。
つまり,社会保障に強くなるためには,社会保険制度を押さえることが重要です。
社会保険制度を押さえるポイントはいくつかありますが,その中でも被保険者は極めて重要です。
今日の問題は,基本中の基本です。
第35回・問題51 事例を読んで,社会保険制度の加入に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Gさん(76歳)は,年金を受給しながら被用者として働いている。同居しているのは,妻Hさん(64歳),離婚して実家に戻っている娘Jさん(39歳),大学生の孫Kさん(19歳)である。なお,Gさん以外の3人は,就労経験がなく,Gさんの収入で生活している。
1 Gさんは健康保険に加入している。
2 Hさんは国民健康保険に加入している。
3 Jさんは健康保険に加入している。
4 Jさんは介護保険に加入している。
5 Kさんは国民年金に加入している。
この問題はとても素敵です。
試験委員のセンスを感じませんか。
座布団を一枚あげたくなるような問題です。
知識があれば解けるし,知識がなければ解けない,という理想の問題です。
それでは解説です。
1 Gさんは健康保険に加入している。
Gさんは,76歳です。
75歳になった時点で,健康保険を抜けて,後期高齢者医療制度の被保険者となっているはずです。
2 Hさんは国民健康保険に加入している。
これが正解です。
Gさんが75歳未満だったときは健康保険の被保険者だったと考えられ,Hさんはその扶養者となっていたでしょう。
Gさんが75歳になった時点で,後期高齢者医療制度の被保険者となりました。
国民健康保険と後期高齢者医療制度には,健康保険と異なり,被扶養者という制度はありません。
そのため,Hさんは国民健康保険に加入することになります。
3 Jさんは健康保険に加入している。
Jさんは就労経験がないという情報があるため,加入しているのは,国民健康保険だと考えられます。
4 Jさんは介護保険に加入している。
40歳であれば,介護保険の第二号被保険者となるかもしれませんが,Jさんはこの時点ではまだ39歳です。
5 Kさんは国民年金に加入している。
国民年金は,20歳以上60歳未満の者が加入します。Jさんはこの時点ではまだ19歳です。
〈今日の一言〉
今日の問題は決して高度な知識を問う問題ではありません。しかし,確実に正解するのはとても難しいものです。
こういった問題が,国試の合否を分けると言っても決して過言ではないでしょう。