2023年3月11日土曜日

第35回国家試験を振り返るシリーズの最終回

平成19年度改正カリキュラムとなった第22回以降の国家試験は,第36回から令和元年度カリキュラムの国家試験に変わります。


その間,ずっと続けて出題されてきたものは,数少ないです。


問題数の多い相談援助系以外で,必ず出題されているのは,心理療法しかありません。


第35回・問題14 心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ブリーフセラピーは,クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

2 社会生活技能訓練(SST)は,クライエントが役割を演じることを通して,対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

3 来談者中心療法は,クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

4 精神分析療法は,学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

5 森田療法は,クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。


心理学が苦手な人は,勉強不足で受験するので,おそらくこういった超頻出のものも正解できないのではないかと思います。


実にもったいないことだと思いませんか?


社会福祉士には,本格的な心理療法を行うことは期待されていませんし,実際に行う機会もないかもしれません。


それにもかかわらず,心理療法が欠かさず出題されているのは,心理的支援に必要な知識だからです。


この問題の正解は,選択肢2のSSTです。


精神保健福祉士は,デイケアで実施します。


社会福祉士には,深い知識は求められないので,ピンポイントを押さえるだけで,正解できるようになります。


それでは,解説です。


1 ブリーフセラピーは,クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。


ブリーフセラピーは,解決した未来をイメージしてもらうようなアプローチを行います。


2 社会生活技能訓練(SST)は,クライエントが役割を演じることを通して,対人関係で必要な技能の習得を目指していく。


先に述べたようにこれが正解です。


SSTは,学習理論のモデリングを応用したものです。


自分が演じることも大切ですが,ほかの人が演じているものを観察して学習することで対人関係に必要なスキルを学んでいきます。


3 来談者中心療法は,クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。


来談者中心療法では,クライエントに指示することはありません。


4 精神分析療法は,学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。


学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていくのは,行動療法です。


5 森田療法は,クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。


クライエントが抑圧している過去の変容を目指していくのは,精神分析療法です。


森田療法は,不安があることは自然のものとして,とらえられるようにかかわっていきます。


不安があることは自然のものとしてとらえることを森田療法では「あるがまま」と表現しています。


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