日本の医療保険制度は,現役世代の制度と高齢者世代の制度が別建てとなっているのが特徴です。
高齢者世代の医療保険制度は,「高齢者の医療を確保する法律」による後期高齢者医療制度です。
保険者 ※法では運営主体と書かれている。
都道府県区域の全市町村が加入する広域連合
被保険者
75歳以上の者,及び一定の障害状態のある65~74歳の者
※生活保護受給者を除く
財源
保険料 1割
後期高齢者支援金 4割
公費 5割
後期高齢者医療制度の特徴は,現役世代の医療保険制度からの支援金があることです。
保険料
広域連合ごとに定める。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題74 後期高齢者医療制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険者は都道府県である。
2 被保険者は,60歳以上の者が対象である。
3 保険料の算定は,世帯単位でされる。
4 各被保険者の保険料は同一である。
5 各医療保険者から拠出される後期高齢者支援金が財源の一部となっている。
後期高齢者医療制度が一問丸ごと出題されるのはとても珍しいことです。
現時点(2023年3月)では,平成19年度改正カリキュラムによる最晩年に当たるため,出題基準にあっても出題されてこなかったもの,あるいはほとんど出題されてこなかったものを埋めるような出題が見られます。
それでは,解説です。
1 保険者は都道府県である。
後期高齢者医療制度の保険者(運営主体)は,都道府県区域の全市町村が加入する広域連合です。
2 被保険者は,60歳以上の者が対象である。
被保険者は,75歳以上の者,及び一定の障害状態のある65~74歳の者です。
生活保護受給者は被保険者となりません。その代わり,医療扶助が給付されます。
3 保険料の算定は,世帯単位でされる。
保険料は,個人単位で算定されます。
4 各被保険者の保険料は同一である。
保険料は,広域連合ごとに定めます。
5 各医療保険者から拠出される後期高齢者支援金が財源の一部となっている。
これが正解です。現役世代の医療保険者からの後期高齢者支援金は後期高齢者医療制度の重要な財源です。財源の4割を占めているのが,後期高齢者支援金です。