医療保障制度は,それぞれの国の特徴が表われます。
日本は,社会保険制度中心
イギリスは,税財源による国民医療サービス(NHS)
アメリカは,高齢者等に対するメディケア,低所得者に対するメディケイド,全国民を対象とする公的医療保険はない。
こんな感じです。
繰り返しますが,日本の医療保障は,社会保険制度が中心です。これを押さえておくと,いろいろな問題に対して応用が効きます。
日本の医療保険制度は,戦前から存在した制度を利用して国民皆保険を作り上げました。
公的年金保険制度ほどは複雑ではありませんが,医療保険制度も複雑です。
現役世代の医療保険制度は
健康保険
国民健康保険
これらはそれぞれ組合をつくって保険者となることができます。
このほかに共済組合と船員保険があります,このうち,船員保険の保険者も協会けんぽです。
これに,後期高齢者医療制度が加わります。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題52 医療保障制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の前身は,中小企業等で働く従業員やその家族が加入していた政府管掌健康保険である。
2 後期高齢者医療制度の被保険者は,日本に住む75歳以上の高齢者のみである。
3 後期高齢者医療制度の運営主体は,市町村単位の広域連合である。
4 前期高齢者医療制度は,国民健康保険・被用者保険の各保険者が,被保険者の所得に応じて費用負担を調整している。
5 大企業等で働く従業員やその家族が加入する組合管掌健康保険においては,すべての組合の保険料率は同率である。
ずいぶん古い問題ですが,今でもそのまま使えます。
法制度は変わるため,新しいもので勉強しないとだめですが,制度変更を押さえることができる会社がつくった古い過去問を使った過去問題集は,学びが多いものです。
それでは,解説です。
1 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の前身は,中小企業等で働く従業員やその家族が加入していた政府管掌健康保険である。
これが正解です。
健康保険制度は,日本で最も古い社会保険制度です。ここから歴史が始まりました。
制度ができた当初から保険者は政府でしたが,現在は,協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)が保険者となります。
健康保険の保険者には,中小企業を対象にする協会けんぽと大企業などが組織する健康保険組合があります。
2 後期高齢者医療制度の被保険者は,日本に住む75歳以上の高齢者のみである。
後期高齢者医療制度の被保険者には,一定の障害がある65歳以上74歳未満の者も含みます。
3 後期高齢者医療制度の運営主体は,市町村単位の広域連合である。
後期高齢者医療制度の運営主体は,都道府県単位の広域連合です。
4 前期高齢者医療制度は,国民健康保険・被用者保険の各保険者が,被保険者の所得に応じて費用負担を調整している。
前期高齢者医療制度は,現役世代の保険者のそれぞれの前期高齢者の加入率によって,費用負担を調整する制度です。
5 大企業等で働く従業員やその家族が加入する組合管掌健康保険においては,すべての組合の保険料率は同率である。
健康保険組合の保険料率は,組合それぞれが独自に定めます。