社会保険制度を覚えるときのポイントはいくつかありますが,その一つが被保険者の規定です。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題55 公的年金の被保険者に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 厚生年金保険の被保険者は,老齢厚生年金の受給を開始したとき,その被保険者資格を喪失する。
2 20歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者となることができない。
3 被用者は,国民年金の第一号被保険者となることができない。
4 厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者であっても,学生である間は,国民年金の第三号被保険者となることができない。
5 国民年金の第三号被保険者は,日本国内に住所を有する者や,日本国内に生活の基礎があると認められる者であること等を要件とする。
年金保険制度の被保険者は複雑です。知識がないと5分の1程度の確率でしか正解することができません。
解説です。
1 厚生年金保険の被保険者は,老齢厚生年金の受給を開始したとき,その被保険者資格を喪失する。
厚生年金保険の被保険者は,70歳未満の者です。
老齢厚生年金の受給を開始しても,70歳になるまでは被保険者です。
2 20歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者となることができない。
厚生年金保険の被保険者は,70歳未満の者です。
つまり,20歳未満であっても適用事業所に雇用されている者は,厚生年金保険の被保険者となります。
3 被用者は,国民年金の第一号被保険者となることができない。
国民年金の第一号被保険者は,第二号被保険者でも第三号被保険者でもない者です。
被用者であっても,厚生年金の適用を受ける要件に満たない者は,国民年金の第一号被保険者として加入します。
4 厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者であっても,学生である間は,国民年金の第三号被保険者となることができない。
国民年金の第三号被保険者は,厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)です。
学生であっても,厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)であれば,国民年金の第三号被保険者となります。
5 国民年金の第三号被保険者は,日本国内に住所を有する者や,日本国内に生活の基礎があると認められる者であること等を要件とする。
これが正解です。
〈国民年金の第三号被保険者の要件〉
日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者。
日本国内に住所を有する者(住民票があること)を「国内居住要件」といいます。
〈日本国内に生活の基礎があると認められる者の例〉
・外国に留学する学生
・外国に赴任する被保険者に同行する者
・ワーキングホリデーや青年海外協力隊 など