2023年3月4日土曜日

社会保険と生活保護の特徴~ファイナル

今回も社会保険と生活保護の特徴の最終回です。


社会保険と生活保護の特徴~その1

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/02/blog-post_28.html

社会保険と生活保護の特徴~その2

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/03/blog-post.html

社会保険と生活保護の特徴~その3

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/03/blog-post_2.html

社会保険と生活保護の特徴~その4

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/03/blog-post_3.html


それでは,今日の問題です。


第22回・問題57 我が国の社会保険と生活保護の制度概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会保険は対象を労働者に限定しているのに対し,生活保護は対象を就労困難者に限定している。

2 社会保険は保険料を納付することにより受給資格が生じるのに対し,生活保護は住民税を納付することにより受給資格が生じる。

3 社会保険は資力調査を課すのに対し,生活保護は所得調査を課す。 

4 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行うのに対し,生活保護は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じ必要な保護を行い,最低限度の生活を保障する。

5 社会保険は救貧的機能を果たし,生活保護は防貧的機能を果たす。


今まで4回紹介してきましたが,その中では,最も答えやすいものになっていると思います。


さすがは,第22回国家試験だと思います。


第22回は,平成19年度改正カリキュラムの1回目に当たり,今後は,こんな出題をしますよ,という今後の方向性を示したものだからです。


そのため,今振り返ってみると,第22回に出題されたものの多くは,その後,繰り返して出題されているものが多いです。


例えば,こんな問題です。


問題1 身体の正常な成長・発達に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 大泉門は,生後6か月までに自然に閉鎖する。 

2 すべての原始反射は,生下から認められ幼児期には消失する。

3 受精後8週目を過ぎると,人としての基本的生理機能を担う器官の形成期に入る。

4 学童期から青年期における顕著な身長の伸びには,成長ホルモンが関与している。

5 脳や感覚器官は,生後から成人まで穏やかなS字カーブを描いて成長する。


問題2 高齢者や老化に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 加齢に伴って生理機能が顕著となる器官は,心臓である。

2 高齢者の難聴は,高音領域から始まる。

3 高齢者の「寝たきり」の原因で最も多い疾患は,骨粗しょう症である。

4 高齢者の死因の第1位は,脳血管疾患である。

5 廃用症候群の一つに変形性関節症がある。


問題3 心身機能と身体構造の概要に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 心臓の左の心房と心室の間にある弁を三尖弁,右の心房と心室の間にある弁を僧帽弁という。

2 健康な成人において,血液細胞を作り出しているのは骨髄である。

3 脳幹は,上部から橋・中脳・延髄の順に並んでいる。

4 肺は左右2つからなり,左は3つ,右は2つの肺葉に分かれている。

5 細胞性免疫は,主にBリンパ球が関与する免疫である。


この中で近年出題されていないのは,骨髄と免疫系くらいです。


答え

問題1 4

問題2 2

問題3 2


それでは,今日の問題の解説です。


1 社会保険は対象を労働者に限定しているのに対し,生活保護は対象を就労困難者に限定している。


社会保険の対象は,その制度によって異なります。


生活保護の対象は,生活困窮者です。


2 社会保険は保険料を納付することにより受給資格が生じるのに対し,生活保護は住民税を納付することにより受給資格が生じる。


社会保険は,保険料を納付することにより受給資格が生じます。


生活保護は,必要に応じて給付されます。税の納付履歴は問われません。


生活保護の特徴をまとめると・・・

・事前の拠出を前提としない。

・個別のニーズに合わせて給付される。

・救貧的に機能する。

・資力調査(ミーンズテスト)を行う。

・扶養義務者の扶養を優先する(補足性の原理)

・世帯を単位として給付する(世帯単位の原則)


といったことが挙げられます。


この逆の性質を持つのが,社会保険特徴です。


3 社会保険は資力調査を課すのに対し,生活保護は所得調査を課す。


社会保険は,保険事故が生じた場合に給付されます。資力調査は課されません。


生活保護は,資力調査が課されます。


4 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行うのに対し,生活保護は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じ必要な保護を行い,最低限度の生活を保障する。


これが正解です。


それぞれの制度をちょっとでもかじっていれば,これを選べるはずです。


5 社会保険は救貧的機能を果たし,生活保護は防貧的機能を果たす。


社会保険は,防貧的機能を果たします。


生活保護は,救貧的機能を果たします。



〈シリーズのまとめとして〉


今回は,最初の回に少し例示しながら解説しただけで,その後はあっさりとしか解説していません。


丁寧に解説することはできましたが,今後の国家試験では,思考して答えを出さなければならないタクソノミーⅡ型・Ⅲ型が増えるとすると,手取り足取り過ぎるのは,思考する機会を奪ってしまうことになりかねません。


国家試験は,決して難しいものを出題しているわけではありませんが,確実に得点を積み上げていくのは,それほど簡単ではありません。


この学習部屋は,たくさんの問題を紹介し,どんな問題が出題されても,対応できる力を身につけることを目的にしています。


私たちは,第3回以降の国家試験に出題されたすべての問題を知っています(第7回の追試も含めて)。


根底に脈々と流れる文脈もわかります。試験委員が変わっても大きな流れは変わりません。


チームfukufuku21のノウハウにご期待ください。

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