国民年金財政の2分の1は,国庫負担によって賄われています。
保険料が免除されている期間は,国庫負担分が将来受け取る年金額に反映されます。
現在の国庫負担は2分の1なので,20~60歳まで全額が法定免除だった場合は,老齢基礎年金の満額の年間給付額は約80万円なので,約40万円が給付されることになります。
以前の国庫負担は3分の1だったので,給付額も3分の1になります。一般の人にはそれほど関係ありませんが,保険料が免除されている人にとっては,大きな影響があるでしょう。
免除されていると国庫負担分が給付額に反映されるのに対し,未納の場合は,追納しないと給付額に反映されません。
所得が下がったなどの理由で,保険料を支払えなくなった場合は,申請して免除してもらうことが必要です。
生活保護受給者,障害基礎年金受給者は,申請せずとも免除される「法定免除」です。
学生納付特例制度は,保険料納付が免除されているのではなく,猶予されているだけなので,卒業したら追納することが必要です。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題53 国民年金制度の保険料に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 60歳以下の者が生活保護を受給している場合,生活扶助費に国民年金保険料分が加算される。
2 20歳以上の学生は,学生を扶養する親の前年の所得が一定額以下である場合,学生納付特例制度を利用することができる。
3 基礎年金の給付に要する費用に対する第三号被保険者の負担は,第一号被保険者全体の保険料負担から拠出されている。
4 障害基礎年金を受給している場合,国民年金保険料の納付は免除される。
5 納付猶予制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。
知識がないと正解することはできない問題です。
合否が分かれるのは,こういった問題で得点を積み重ねることができるか否かです。
それでは,解説です。
1 60歳以下の者が生活保護を受給している場合,生活扶助費に国民年金保険料分が加算される。
生活保護受給者の保険料は,法定免除です。
生活扶助費に加算されるのは,介護保険の第1号被保険者の保険料です。
生活扶助の介護保険料加算として給付されます。介護扶助ではないことが注意ポイントです。
2 20歳以上の学生は,学生を扶養する親の前年の所得が一定額以下である場合,学生納付特例制度を利用することができる。
学生納付特例制度は,親の所得に関係なく利用できます。
関係するのは,学生本人の所得です。
3 基礎年金の給付に要する費用に対する第三号被保険者の負担は,第一号被保険者全体の保険料負担から拠出されている。
第三号被保険者は,厚生年金加入者の被扶養配偶者です。
保険料は,第2号被保険者全体の保険料負担から拠出されています。
4 障害基礎年金を受給している場合,国民年金保険料の納付は免除される。
これが正解です。
障害基礎年金受給者の保険料は,法定免除です。
5 納付猶予制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。
国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映されるのは,免除の場合です。
猶予は,猶予されているだけなので,追納しないと反映されません。