2023年11月23日木曜日

統計法

 

統計法は,総務省が所管する法令です。

 

以下,総務省のホームページを転載します。

 

総務省「統計法について」

https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/1-1n.htm

 

社会の情報基盤としての統計

 統計法の目的は,公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより,公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り,国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することとなっています(第1条)。

 公的統計は行政利用だけではなく,社会全体で利用される情報基盤として位置付けられています。

 公的統計には,体系的に整備すること,適切かつ合理的な方法により作成すること,中立性・信頼性を確保すること,容易に入手できるように提供すること,被調査者の秘密を保護することなどの基本理念があり,行政機関等はこの基本理念にのっとって公的統計を作成する責務があります(第3条,第3条の2)。

 

基幹統計

 国勢統計,国民経済計算その他国の行政機関が作成する統計のうち総務大臣が指定する特に重要な統計を「基幹統計」として位置付け,この基幹統計を中心として公的統計の体系的整備を図ることとしています。

 

報告義務

基幹統計調査に対する正確な報告を法的に確保するため,基幹統計調査の報告(回答)を求められた者が,報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすることを禁止しており(第13条),これらに違反した者に対して,50万円以下の罰金が定められています(第61条)。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題85

2007年(平成19年)の統計法改正に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 調査票情報の利用制度が変わり,目的を問わず誰でも二次利用できるようになった。

2 改正の目的は,公的統計の位置づけを「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へと転換させることである。

3 基幹統計は,それ以前の指定統計と異なって,回答の義務を規定している。

4 統計委員会は,各都道府県に設置されるようになった。

5 調査対象者の秘密保護の扱いは,改正前と変わっていない。

 

知識なしでも消去できそうな選択肢もありますが,そけだけでは確実に正解することが難しい問題かもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 調査票情報の利用制度が変わり,目的を問わず誰でも二次利用できるようになった。

 

調査票の二次利用はできますが,目的も利用できる者も制限があります。

 

2 改正の目的は,公的統計の位置づけを「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へと転換させることである。

 

これが正解です。

 

総務省のホームページの記述にあるとおります。

 

3 基幹統計は,それ以前の指定統計と異なって,回答の義務を規定している。

 

回答の義務は,改正前から規定されています。

 

4 統計委員会は,各都道府県に設置されるようになった。

 

統計委員会が設置されるのは,総務省です。

 

5 調査対象者の秘密保護の扱いは,改正前と変わっていない。

 

これが要注意です。

 

2007年改正では,秘密の漏洩禁止などが新たに定められています。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

問題の読み方のテクニック的なことをちょっと述べます。

 

この問題には,試験委員の作問の癖が出ています。

 

3 基幹統計は,それ以前の指定統計と異なって,回答の義務を規定している。

5 調査対象者の秘密保護の扱いは,改正前と変わっていない。

 

選択肢3は,改正ありの内容です。

選択肢5は,改正なしの内容です。

 

どちらもちょっと悩む内容です。

 

この2つを比べてみると,時代背景の変化があったのは,選択肢5の秘密保護です。

 

個人情報保護法が2000年代に入って成立しているからです。

 

選択肢5の秘密保護の扱いに変更がないのであれば,わざわざ出題する意味はありません。

 

選択肢5だけが単独で出題されていれば,判断するのはかなり困難ですが,この問題の場合は,選択肢3と抱き合わせで出題していることで,突破口が開けています。

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