2023年11月19日日曜日

成年後見制度利用促進法の主な内容

成年後見制度利用促進法(成年後見制度の利用の促進に関する法律)は,2016年(平成28年)にできました。同法の所管は内閣府です。

 

〈主な内容〉

 

(関係機関等の相互の連携)

第八条 国及び地方公共団体並びに成年後見人等,成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては,相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。

2 地方公共団体は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては,特に,その地方公共団体の区域を管轄する家庭裁判所及び関係行政機関の地方支分部局並びにその地方公共団体の区域に所在する成年後見人等,成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者その他の関係者との適切な連携を図るよう,留意するものとする。

 

(成年後見制度利用促進基本計画)

第十二条 政府は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,成年後見制度の利用の促進に関する基本的な計画(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)を定めなければならない。

2 成年後見制度利用促進基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。

一 成年後見制度の利用の促進に関する目標

二 成年後見制度の利用の促進に関し,政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

三 前二号に掲げるもののほか,成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

 

(成年後見制度利用促進会議)

第十三条 政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けるものとする。

2 関係行政機関は、成年後見制度の利用の促進に関し専門的知識を有する者によって構成する成年後見制度利用促進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。

3 成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進専門家会議の庶務は、厚生労働省において処理する。

 

 (地方公共団体の講ずる措置)

(市町村の講ずる措置)

第十四条 市町村は,成年後見制度利用促進基本計画を勘案して,当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに,成年後見等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 市町村は,当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関して,基本的な事項を調査審議させる等のため,当該市町村の条例で定めるところにより,審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。

(都道府県の講ずる措置)

第十五条 都道府県は,市町村が講ずる前条の措置を推進するため,各市町村の区域を超えた広域的な見地から,成年後見人等となる人材の育成,必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとする。

 

〈用語解説〉

 

成年後見等実施機関

自ら成年後見人等となり,又は成年後見人等若しくはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体。

成年後見関連事業者

介護,医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行う者。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題81

成年後見制度の利用促進に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は,おおむね10年程度とされている。

2 市町村は,成年後見制度利用促進基本計画を勘案して,成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。

3 成年後見制度利用促進基本計画においては,利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。

4 政府は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。

5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは,介護,医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。

 

知識なしで消去できる選択肢はほとんどありません。

 

知識重視のガチンコ対決の問題です。

 

しかし,実際には,出題基準に示されていないものの対策はかなり困難なので,知識がなくても気にすることはありません。

 

国家試験当日は,気持ちを切り替えて,次の問題に進むことが大切です。

 

それでは,解説です。

 

1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は,おおむね10年程度とされている。

 

成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は,おおむね10年程度とされています。

 

2 市町村は,成年後見制度利用促進基本計画を勘案して,成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。

 

政府は,基本計画を定めなければなりませんが,市町村計画の策定は任意です。

 

3 成年後見制度利用促進基本計画においては,利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。

 

基本計画は,利用のしやすさ,不正防止の徹底防止を課題として策定されます。

 

実際には,この2つのほかに地域連携ネットワークも課題とされます。

 

4 政府は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。

 

これが正解です。

 

成年後見制度利用促進会議は,政府が設置し,その庶務は厚生労働省が処理します。

 

5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは,介護,医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。

 

成年後見等実施機関

自ら成年後見人等となり,又は成年後見人等若しくはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体。

成年後見関連事業者

介護,医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行う者。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

今日の問題でも注意ポイントはあります。

 

各種計画等の策定期間の基本は,計画期間がない,5年を一期とするものです。

介護保険事業計画や障害福祉計画の3年,医療計画などの6年は,珍しいものです。

 

ましてや,変化の大きい時代において,10年計画はめったにないのではないかと思います。

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