アンケートは手軽に実施できます。
しかし,適切に質問紙を作らないと思ったような結果を得ることはできません。
質問紙を作成する場合の留意点
ダブルバーレル質問 |
一つの質問に複数の要素を含んだ質問。 |
イエステンデンシー |
「いいえ」と答えるよりも「はい」と答えることのほうが答えやすい傾向にあること。 |
キャリーオーバー効果 |
前の質問が次の質問に影響を与えること。 |
ステレオタイプ |
特定の意味を含んだ言葉のこと。過去問では「市民運動」という表現と「草の根の市民運動」という表現を例に出題されている。 |
これらに注意して,今日の問題です。
第32回・問題88
質問紙の作成に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 ダブルバーレルは,質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
2 リッカート尺度は,「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
3 キャリーオーバー効果は,前に回答したことが,後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので,積極的に用いるのが望ましい。
4 質問紙の作成においては全て〇や数字で回答するようにし,文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
5 フェイスシートは,回答者の年齢,学歴,家族構成などの属性を回答する欄である。
社会福祉調査っぽくないような内容も含まれています。
その分,ちょっとといじわるなのかもしれません。
それでは解説です。
1 ダブルバーレルは,質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。
ダブルですから,2つ以上です。
2 リッカート尺度は,「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。
これが1つめの正解です。
選択肢にあるような質問は,よくみられます。これをリッカート尺度と呼びます。
リッカート尺度は,順序尺度の一種です。
3 キャリーオーバー効果は,前に回答したことが,後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので,積極的に用いるのが望ましい。
キャリーオーバー効果が生じないように注意が必要です。
4 質問紙の作成においては全て〇や数字で回答するようにし,文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。
自由回答欄は,必要です。
アンケートをとってみれば,その理由がよくわかるでしょう。
5 フェイスシートは,回答者の年齢,学歴,家族構成などの属性を回答する欄である。
これが2つめの正解です。
フェイスシートは,ソーシャルワークの理論と方法で出題されています。
〈今日の注意ポイント〉
〈質問紙を作成する場合の留意点〉に示した内容は,すべて避けるべき内容です。