今回は,測定尺度(名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度)に関する問題を取り上げます。
名義尺度 |
測定したものを区別するものの意味しかない。使える代表値は,最頻値のみ。 〈例〉 1.日本人 2.アメリカ人 3.イギリス人 4.中国人 5.その他 1から5までの数字があるが,その数字には意味がない。 |
間隔尺度 |
数値の大小だけに意味があるもの。使える代表値は,最頻値,中央値。 〈例〉 果物の好き嫌いについて りんご 1.大好き 2.好き 3.ふつう 4.嫌い 5.大嫌い みかん 1.大好き 2.好き 3.ふつう 4.嫌い 5.大嫌い いちご 1.大好き 2.好き 3.ふつう 4.嫌い 5.大嫌い |
間隔尺度 |
数値の大小に意味をもち,間隔は等しいもの。使える代表値は,最頻値,中央値,平均値。 〈例〉 気温 |
比例尺度 |
数値の大小に意味をもち,間隔は等しいもの。間隔尺度と異なるのは,ゼロ以下はないこと。使える代表値は,最頻値,中央値,平均値。 〈例〉 体重・身長 |
それぞれの尺度で得たデータは
名義尺度
順序尺度
間隔尺度
比例尺度
の順で情報量が多くなります。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題87
量的調査の測定尺度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 名義尺度は,代表値を求めることはできない。
2 順序尺度は,測定値の大小や優劣を意味しない。
3 間隔尺度は,測定値の間隔を数量的に表現できない。
4 比例尺度は,数値の間隔が等しいだけでなく数値の比も意味を持つ。
5 名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度は,いずれも標準偏差を計算することに数量的な意味がある。
測定尺度は,知識がなければ正解できないので,国家試験には向く出題となります。
それでは解説です。
1 名義尺度は,代表値を求めることはできない。
名義尺度は,4つの測定尺度の中では,最も情報量の少ないものですが,最頻値は求めることができます。
2 順序尺度は,測定値の大小や優劣を意味しない。
順序尺度は,データの大小,優劣だけに意味を持ちます。
3 間隔尺度は,測定値の間隔を数量的に表現できない。
間隔尺度は,それぞれの間隔が等しいものです。
気温のように,1℃,2℃と表現することができます。
4 比例尺度は,数値の間隔が等しいだけでなく数値の比も意味を持つ。
これが正解です。
比例尺度が最も情報量の多いデータが得られます。
意味のある四則計算が可能なのは,比例尺度のみです。
間隔尺度は,四則計算のうち,足し算,引き算のみ意味を持ちます。
5 名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度は,いずれも標準偏差を計算することに数量的な意味がある。
標準偏差は,データのばらつきを示すものです。
意味がある標準偏差を出すことができるのは,間隔尺度と比例尺度のみです。
〈今日の注意ポイント〉
社会福祉調査が苦手だと思う人は,多いです。
そのうち,測定尺度は,理解するのが面倒だと感じる代表的なものの一つでしょう。
測定尺度を理解する時のポイントは,それぞれの例を覚えることです。
上記の表を頭に焼き付けましょう。