社会福祉法における社会福祉主事の規定
(設置) 第十八条 都道府県、市及び福祉に関する事務所を設置する町村に、社会福祉主事を置く。 2 前項に規定する町村以外の町村は、社会福祉主事を置くことができる。 3 都道府県の社会福祉主事は、都道府県の設置する福祉に関する事務所において、生活保護法、児童福祉法及び母子及び父子並びに寡婦福祉法に定める援護又は育成の措置に関する事務を行うことを職務とする。 4 市及び第一項に規定する町村の社会福祉主事は、市及び同項に規定する町村に設置する福祉に関する事務所において、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を行うことを職務とする。 5 第二項の規定により置かれる社会福祉主事は、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護又は更生の措置に関する事務を行うことを職務とする。 (資格等) 第十九条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢十八年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。 一 厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者 二 都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者 三 社会福祉士 四 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者 五 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの |
資格等の第19条には「年齢18年以上の者」と規定されています。
福祉事務所に置かれる社会福祉主事の年齢は,以前は20歳以上でしたが,民法改正によって成年年齢が18歳以上となったことから,社会福祉主事の年齢も18歳以上に変更されています。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題67
福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については,生活保護法で定めている。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は,生活保護法の施行について,市長の事務の執行を補助する。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員),現業を行う所員(現業員),事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
4 福祉事務所の長は,厚生労働大臣の指揮監督を受けて,所務を掌理する。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は,25歳以上の者でなければならない。
勉強したことがない問題が出題されると焦りますが,そういった問題はほかの人も同じことを感じているはずです。
国試合格に必要なのは,こういった極めて基本的な問題を確実に正解することです。
あいまいな知識では正解することができません。
それでは,解説です。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については,生活保護法で定めている。
現業員の定数は,社会福祉法で規定されています。
定数自体は,国家試験では一度しか出題されたことがありませんが,規定では以下のようになっています。
(所員の定数)
第十六条 所員の定数は、条例で定める。ただし、現業を行う所員の数は、各事務所につき、それぞれ次の各号に掲げる数を標準として定めるものとする。
一 都道府県の設置する事務所にあつては、生活保護法の適用を受ける被保護世帯(以下「被保護世帯」という。)の数が三百九十以下であるときは、六とし、被保護世帯の数が六十五を増すごとに、これに一を加えた数
二 市の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、三とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数
三 町村の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が百六十以下であるときは、二とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数
詳しく覚える必要はありませんが,覚えていてほしいのは,「標準として定める」という部分です。
国家試験では,定数が一度しか出題されたことがないのは,法に規定されている「標準として定める」ので,自治体の考え方によって弾力的に定めることができるからでしょう。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は,生活保護法の施行について,市長の事務の執行を補助する。
これが正解です。
社会福祉主事は,社会福祉法に規定されているために,「生活保護法」と出題されると「あれっ?」と思うかもしれません。
しかし,生活保護法では,以下のように改めて規定されます。
(補助機関)
第二十一条 社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。
(民生委員の協力)
第二十二条 民生委員法に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
現行の生活保護法では,
社会福祉主事は,補助機関
民生委員は,協力機関
となっています。
なお,民生委員(方面委員)は,救護法と旧・生活保護法では,補助機関であったことも合わせて覚えておいてほしいと思います。
現行の生活保護法では,社会福祉主事が創設され,それに伴い,民生委員はそれまでの補助機関から協力機関に変更されました。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員),現業を行う所員(現業員),事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
社会福祉主事でなければならないのは,査察指導員と現業員です。
福祉事務所には,このほかに所の長と事務を行う所員が置かれていますが,いずれも社会福祉主事である必要はありません。
4 福祉事務所の長は,厚生労働大臣の指揮監督を受けて,所務を掌理する。
福祉事務所の長が指揮監督を受けるのは,福祉事務所を設置した機関の長です。
つまり,
都道府県福祉事務所の場合は,都道府県知事
市町村福祉事務所の場合は,市町村長
です。組織の成り立ちを考えたときには,当然の仕組みですが,国家試験で出題されると,こういったものも判断できなくなるのが怖いところです。
同じように,社会福祉主事が指揮監督を受けるのは,福祉事務所の長です。
都道府県知事や市町村長ではありません。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は,25歳以上の者でなければならない。
ようやく,今日のテーマが登場してきました。
社会福祉主事は,18歳以上の者でなければなりません。
前説のように,以前は20歳だったものが18歳に引き下げられています。
〈今日の注意ポイント〉
社会福祉主事が指揮監督を受けるのは,福祉事務所の長です。
福祉事務所の長が指揮監督を受けるのは,都道府県福祉事務所の場合は都道府県知事,市町村福祉事務所の場合は市町村長です。
それでは「協力機関」である民生委員が指揮監督を受けるのは誰でしょうか?
1.市町村長
2.都道府県知事
答えは「2.都道府県知事」です。