2023年11月7日火曜日

生活困窮者自立相談支援事業

生活困窮者自立支援法では,生活困窮者自立相談支援事業と生活困窮者住宅確保給付金の支給の実施を都道府県と福祉事務所を設置している市町村の必須事業としています。

 

受験する国家試験は社会福祉士ですから,相談支援系の社会資源は確実に覚えておきたいです。

 

生活困窮者自立相談支援事業にかかわる専門職 

主任相談支援員

・相談業務全般のマネジメント、他の支援員の指導・育成

・困難ケースへの対応など高度な相談支援

・社会資源の開拓・連携 など

相談支援員

生活困窮者への相談支援

・アセスメント、プラン作成

・社会資源の活用を含む包括的な支援の実施

・相談記録の管理や訪問支援などのアウトリーチ など

就労支援員

生活困窮者への就労支援

・ハローワークや協力企業などとの連携 ・ 能力開発、職業訓練、就職支援、無料職業紹介、求人開拓 など

 

このうち,社会福祉士が任用資格に含まれているのは,主任相談支援員です。

 

それ以外に,特段の任用資格はありません。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題69 

低所得者の支援を行う組織や制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 福祉事務所未設置町村は,生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ,生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。

2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は,社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。

3 民生委員は,地域の低所得者を発見し,福祉事務所につなぐために市長から委嘱され,社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。

4 住宅を喪失した人への支援策として,無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。

5 生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護の被保護者が利用する事業である。

 

生活困窮者自立支援制度は,第2のセーフティネットとしての役割を果たすものとして創設されたものです。

 

生活保護制度と連携しながら実施することを想定しているために,生活困窮者自立支援事業の必須事業は,福祉事務所を設置する自治体が実施するものとされています。

 

それでは,解説です。

 

1 福祉事務所未設置町村は,生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ,生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。

 

これが正解です。

福祉事務所を設置しなければならないのは,都道府県と市です。

 町村には設置義務はありません。

 しかし,だからといって,何の役割もないわけではありません。

 

生活保護法にも生活困窮者自立支援法にも役割が規定されています。

 

2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は,社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。

 

社会福祉主事でなければならないのは,福祉事務所の査察指導員と現業員です。

 

そもそも生活困窮者自立相談支援事業は,生活困窮者自立支援法の制度なので,もしこのような規定があるなら,社会福祉法ではなく,生活困窮者自立支援法でしょう。

 

3 民生委員は,地域の低所得者を発見し,福祉事務所につなぐために市長から委嘱され,社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。

 

民生委員を委嘱するのは,厚生労働大臣です。

 

4 住宅を喪失した人への支援策として,無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。

 

住宅を喪失した人への支援策として,実施されるのは,住宅確保給付金の支給です。

 

しかも住宅確保給付金の支給を実施するのは,先述のように,福祉事務所を設置する自治体です。

 

5 生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護の被保護者が利用する事業である。

 

生活困窮者一時生活支援事業は,ホームレスなどに対して,宿泊場所や食事などを提供するものです。

 

そのうえで,必要な場合は,生活保護を受けます。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

社会福祉主事でなければならないのは,福祉事務所の査察指導員と現業員のみです。

 

それ以外で,社会福祉主事でなければならない,と出題された場合は,すべて誤りです。

 

社会福祉士も同じです。

 

今のところ,社会福祉士が配置されるのは,地域包括支援センターのみです。

 

それ以外で,社会福祉士でなければならない,と出題された場合は,すべて誤りです。

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