2023年11月1日水曜日

生活保護の年次推移の特徴の押さえ方

今回のテーマは,生活保護の年次推移です。


生活保護の年次推移の傾向はほとんど変化ありません。

そのため,過去問が役立ちます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題63

2000年度(平成12年度)以降の生活保護の全国的な動向(年次推移)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は,一貫して減少している。

2 被保護世帯及び被保護人員共に,2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。

3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると,「母子世帯」の割合が一貫して増加している。

4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると,「傷病」が一貫して増加している。

5 介護扶助人員は,一貫して増加している。


「一貫して」が目立つ問題です。


多くの場合,「一貫して」は「一貫していない」ものですが,生活保護の年次推移は,「一貫している」ものが多いので,確実な知識が求められます。


一貫しているものには

・保護世帯は,一人世帯が最も多い。

・市郡別では,市が多い。

・保護の廃止理由は,死亡が最も多い。


などがあります。


それでは解説です。


1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は,一貫して減少している。


住宅扶助費は,増加傾向にあります。


ただし,一貫して増加しているわけではありません。


2 被保護世帯及び被保護人員共に,2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。


被保護世帯数が増加に転じたのは,1993年(平成5年)です。


被保護人員が増加に転じたのは,1996年(平成7年)です。


どちらも,東日本大震災よりも前から増加に転じています。


3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると,「母子世帯」の割合が一貫して増加している。


母子世帯の割合は,減少傾向にあります。


ただし,一貫して減少しているわけではありません。


4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると,「傷病」が一貫して増加している。


傷病は,増加したり,減少したりしています。


5 介護扶助人員は,一貫して増加している。


これが正解です。


高齢者が増加する昨今,介護扶助人員が一貫して増加しているのは納得でしょう。


〈今日の注意ポイント〉


「一貫して」起きる現象には,この問題の正解となった介護扶助人員のように,背景に明確な理由があります。


明確な理由がない場合は,年度によって増えたり,減ったりするものです。


問題を解く場合は,それを手がかりして考えると良いと思います。

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