今回のテーマは,生活保護の年次推移です。
生活保護の年次推移の傾向はほとんど変化ありません。
そのため,過去問が役立ちます。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題63
2000年度(平成12年度)以降の生活保護の全国的な動向(年次推移)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は,一貫して減少している。
2 被保護世帯及び被保護人員共に,2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。
3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると,「母子世帯」の割合が一貫して増加している。
4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると,「傷病」が一貫して増加している。
5 介護扶助人員は,一貫して増加している。
「一貫して」が目立つ問題です。
多くの場合,「一貫して」は「一貫していない」ものですが,生活保護の年次推移は,「一貫している」ものが多いので,確実な知識が求められます。
一貫しているものには
・保護世帯は,一人世帯が最も多い。
・市郡別では,市が多い。
・保護の廃止理由は,死亡が最も多い。
などがあります。
それでは解説です。
1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は,一貫して減少している。
住宅扶助費は,増加傾向にあります。
ただし,一貫して増加しているわけではありません。
2 被保護世帯及び被保護人員共に,2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。
被保護世帯数が増加に転じたのは,1993年(平成5年)です。
被保護人員が増加に転じたのは,1996年(平成7年)です。
どちらも,東日本大震災よりも前から増加に転じています。
3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると,「母子世帯」の割合が一貫して増加している。
母子世帯の割合は,減少傾向にあります。
ただし,一貫して減少しているわけではありません。
4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると,「傷病」が一貫して増加している。
傷病は,増加したり,減少したりしています。
5 介護扶助人員は,一貫して増加している。
これが正解です。
高齢者が増加する昨今,介護扶助人員が一貫して増加しているのは納得でしょう。
〈今日の注意ポイント〉
「一貫して」起きる現象には,この問題の正解となった介護扶助人員のように,背景に明確な理由があります。
明確な理由がない場合は,年度によって増えたり,減ったりするものです。
問題を解く場合は,それを手がかりして考えると良いと思います。