しかし,確実に合格をつかむためには,今からのスタートが必要だと思っています。
国試はいつも
少しずつ同じで,少しずつ違う
私たちがずっと主張しているように過去3年間の過去問を完璧に解けても,それで合格できるような試験ではありません。
ある会社のずっと昔の過去問題集を見ると,今の過去問解説とまったく違い,内容の解説というよりも解き方解説が中心になっています。巻末に重要語句のまとめがついています。
過去問は,正解を導き出すための手がかりをつかむためのものととらえていたと思われます。
今もその意味は変わっているわけではありません。
過去に出題されたものと同じように出題していては,たくさんの人が合格してしまうし,だからといって,違うものを出題してしまうと,誰もが解けなくなってしまう。
このバランスをうまくとった出題方法が
少しずつ同じで,少しずつ違う
というものです。
それでは今日の問題です。
第27回・問題1
人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 アルブミンは酸素の運搬にかかわる。
2 ヘモグロビンは感染の防御にかかわる。
3 平滑筋は随意的に収縮できる。
4 気管は食道の後方に位置する。
5 横隔膜は呼吸にかかわる。
国試は群0点になってしまうと不合格になります。
新卒だと内定取り消しという事態もあり得ます。
そのため,試験委員も大学の先生が多いので,その重大さはよく分かっています。
初期のころは,この規定がなかったので,とても難しい問題を出題する科目もありました。
難しい科目は勉強せずに得意科目を数科目作るという戦略が取れました。
しかしその後今と同じスタイルになったことで,その戦略は取れなくなりました。
しかし今と違うのは1科目10問だったということです。必ず1~5,いずれかがその科目の答えに含まれていたので,苦手科目はやっぱり勉強せず,すべての問題を3あるいは4をマークすれば確実に1点以上,場合によっては3~4点も取ることができました。
今は,基本は7問。その戦略が取れません。これだけでもハードルが上がっていることが分かるでしょう。
0点にさせないために,試験委員は勉強をしっかりしてきた人だけが分かる仕掛けをつくっています。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 アルブミンは酸素の運搬にかかわる。
アルブミンは,何の働きをしているのか分からなくても,酸素の運搬をしているのは,ヘモグロビンであることは分かります。よって間違いです。
アルブミンは,栄養素であるアミノ酸の運搬にかかわっています。
高齢者領域にいる方は,アルブミン値の重要性はよくご存じのことと思います。
2 ヘモグロビンは感染の防御にかかわる。
ヘモグロビンは,先述のように酸素の運搬にかかわっています。よって間違いです。
感染の防御にかかわるのは,免疫系です。
免疫に関しては,第22・24・27回と続けて出題されてきましたが,この問題を最後に出題されていません。つまり直近3回には出題されていないことになります。ダークホースです。
免疫には
液性免疫 ➡ B細胞が抗体をつくって病原体を攻撃する。
細胞性免疫 ➡ T細胞が病原体を直接攻撃する。
2つの免疫系で防御しています。
2つあるものは覚えにくいので,しっかり押さえることが必要です。
2つあるものは,1つだけを覚えるのがコツです。両方覚えようとすると国試の時「あれっ,どっちだったっけ?」とあいまいになる可能性が高くなります。
片方だけを覚えておけば,この混乱を防ぐことができます。
3 平滑筋は随意的に収縮できる。
平滑筋は,腸などに分布する自分ではコントロールできない不随意筋です。よって間違いです。
自分でコントールできるのは,骨格筋などに分布する横紋筋です。ただし,心臓は横紋筋です。
免疫と同じように2つあります。混乱しないように片方だけ覚えましょう。
平滑筋は,第25・27回に続けて出題されていますが,直近3回では出題されていません。ダークホースです。
4 気管は食道の後方に位置する。
器官は,食道の前方に位置しています。よって間違いです。
国試では,前,後ろ,右,左,上,下,など対になるものがあるものには注意しましょう。
これらを入れ替えるのは,間違い選択肢を作るときの常とう手段です。
器官は,前にあるために,身体構造的に誤嚥しやすくなっています。そのために飲み込むときに喉頭蓋が閉じるようになっています。
5 横隔膜は呼吸にかかわる。
肺は,自ら動いているわけではありません。横隔膜と肋間筋の動きがかかわっています。
よって正解です。
勉強した人だけが分かる仕掛けとは・・・
第24回に
吸気時には,横隔膜と肋間筋が収縮する。
が出題されていて,これが正解となっています。
〈今日の一言〉
医学概論は覚える範囲が広いので,覚えるのが大変です。
しかし基礎をしっかり覚えておけば,得点できる科目になります。
別な言い方をすると,覚える範囲が広いので,深追いしても得点はそれほど上がりません。
ほどほどに押さえていくことが重要です。
特にこの科目は,最初の科目なので多くの方は張り切って取り組むはずです。
時間をかけすぎることは絶対に避けなければなりません。
勉強のペース配分を考えましょう。
第27回・問題1
人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 アルブミンは酸素の運搬にかかわる。
2 ヘモグロビンは感染の防御にかかわる。
3 平滑筋は随意的に収縮できる。
4 気管は食道の後方に位置する。
5 横隔膜は呼吸にかかわる。
国試は群0点になってしまうと不合格になります。
新卒だと内定取り消しという事態もあり得ます。
そのため,試験委員も大学の先生が多いので,その重大さはよく分かっています。
初期のころは,この規定がなかったので,とても難しい問題を出題する科目もありました。
難しい科目は勉強せずに得意科目を数科目作るという戦略が取れました。
しかしその後今と同じスタイルになったことで,その戦略は取れなくなりました。
しかし今と違うのは1科目10問だったということです。必ず1~5,いずれかがその科目の答えに含まれていたので,苦手科目はやっぱり勉強せず,すべての問題を3あるいは4をマークすれば確実に1点以上,場合によっては3~4点も取ることができました。
今は,基本は7問。その戦略が取れません。これだけでもハードルが上がっていることが分かるでしょう。
0点にさせないために,試験委員は勉強をしっかりしてきた人だけが分かる仕掛けをつくっています。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 アルブミンは酸素の運搬にかかわる。
アルブミンは,何の働きをしているのか分からなくても,酸素の運搬をしているのは,ヘモグロビンであることは分かります。よって間違いです。
アルブミンは,栄養素であるアミノ酸の運搬にかかわっています。
高齢者領域にいる方は,アルブミン値の重要性はよくご存じのことと思います。
2 ヘモグロビンは感染の防御にかかわる。
ヘモグロビンは,先述のように酸素の運搬にかかわっています。よって間違いです。
感染の防御にかかわるのは,免疫系です。
免疫に関しては,第22・24・27回と続けて出題されてきましたが,この問題を最後に出題されていません。つまり直近3回には出題されていないことになります。ダークホースです。
免疫には
液性免疫 ➡ B細胞が抗体をつくって病原体を攻撃する。
細胞性免疫 ➡ T細胞が病原体を直接攻撃する。
2つの免疫系で防御しています。
2つあるものは覚えにくいので,しっかり押さえることが必要です。
2つあるものは,1つだけを覚えるのがコツです。両方覚えようとすると国試の時「あれっ,どっちだったっけ?」とあいまいになる可能性が高くなります。
片方だけを覚えておけば,この混乱を防ぐことができます。
3 平滑筋は随意的に収縮できる。
平滑筋は,腸などに分布する自分ではコントロールできない不随意筋です。よって間違いです。
自分でコントールできるのは,骨格筋などに分布する横紋筋です。ただし,心臓は横紋筋です。
免疫と同じように2つあります。混乱しないように片方だけ覚えましょう。
平滑筋は,第25・27回に続けて出題されていますが,直近3回では出題されていません。ダークホースです。
4 気管は食道の後方に位置する。
器官は,食道の前方に位置しています。よって間違いです。
国試では,前,後ろ,右,左,上,下,など対になるものがあるものには注意しましょう。
これらを入れ替えるのは,間違い選択肢を作るときの常とう手段です。
器官は,前にあるために,身体構造的に誤嚥しやすくなっています。そのために飲み込むときに喉頭蓋が閉じるようになっています。
5 横隔膜は呼吸にかかわる。
肺は,自ら動いているわけではありません。横隔膜と肋間筋の動きがかかわっています。
よって正解です。
勉強した人だけが分かる仕掛けとは・・・
第24回に
吸気時には,横隔膜と肋間筋が収縮する。
が出題されていて,これが正解となっています。
〈今日の一言〉
医学概論は覚える範囲が広いので,覚えるのが大変です。
しかし基礎をしっかり覚えておけば,得点できる科目になります。
別な言い方をすると,覚える範囲が広いので,深追いしても得点はそれほど上がりません。
ほどほどに押さえていくことが重要です。
特にこの科目は,最初の科目なので多くの方は張り切って取り組むはずです。
時間をかけすぎることは絶対に避けなければなりません。
勉強のペース配分を考えましょう。