2018年3月29日木曜日

第31回国試に合格する勉強法~人格検査は,質問紙法・投影法の整理から

心理学理論と心理的支援は,攻略しやすい科目です。

苦手だと思っている人が多いだけに,得点を稼ぐチャンスの科目と言えます。

(再掲)<得点しやすい理由>

①出題基準に沿って出題されている。
②間違い選択肢には言い回しの不自然がある。


特に

①出題基準に沿って出題されている。

はありがたいです。

それでは,今日のテーマの「人格検査は,質問紙法・投影法の整理から」です。

現行カリキュラムになって,出題されているのは,第22回と第27回の2回です。
たった2回と思うかもしれません。

しかし,複数回出題されているということの意味はとても重要な意味を持ちます。
1回なら一見さんで終わります。

2回目があれば,常連さんへの道が開けます。

それでは,今日の問題です。

第27回・問題12 人格検査に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 P-Fスタディは,愛着に対する特徴的な反応様式や攻撃に対する傾向を知るのに役立つ。
2 TAT(主題統覚検査,絵画統覚検査)は,提示された絵を見て作った物語の内容から,隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。
3 ロールシャッテストは,被検査者の視覚・運動ゲシュタルト機能を通して人格特徴の把握及び理解を目的とする。
4 東大式エゴグラム(TEG)は,抑圧・不安・達成の三つの自我状態で構成され,各自我状態のバランスから性格分析を行う。
5 内田クレペリン精神検査は,積木構成課題結果の心的活動の調和・均衡の様態から,種々の場面で適切な行動を示すことができるかどうかについて見立てる。

人格検査には,質問紙法,投影法,作業検査法の3種類があります。

質問紙法は,質問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」で答えるものです。

投影法は,あいまいなものを見せるなどして,その反応を見ます。

作業検査法は,日本では「内田クレペリン作業検査法」が知られます。ひたすら作業するものです。内田クレペリンは,ひたすら足し算します。

勉強する時は,まずそれぞれの人格検査がどこの種類のものかをつかんでから,内容を覚えるのが確実です。

それでは,詳しくみていきましょう。


1 P-Fスタディは,愛着に対する特徴的な反応様式や攻撃に対する傾向を知るのに役立つ。

P-Fスタディは,被験者の欲求不満の状態や社会適応性などを知るのに役立ちます。

よって間違いです。

P-Fスタディと書かれると勉強不足の人は意味の想像ができないと思いますが,ピクチャー・フラストレーションの略です。

こう書くと「愛着」というのは変だろうと思うでしょう。しかし,英語を併記しないのは,答えが分からないようにする仕掛けです。こんなところに国試のいやらしさがあると思います。

P-Fスタディは投影法です。


2 TAT(主題統覚検査,絵画統覚検査)は,提示された絵を見て作った物語の内容から,隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。

これが正しいです。作った物語は,自分の隠されたものが表現されると考えます。TATは投影法です。


3 ロールシャッテストは,被検査者の視覚・運動ゲシュタルト機能を通して人格特徴の把握及び理解を目的とする。

ロールシャッハテストは,インクのしみ(インク・プロット)が何に見えるかを答えます。よって間違いです。ロールシャッハテストも投影法です。

視覚・運動ゲシュタルト機能といったよく分からないものを挟み込んでこの選択肢をけむに巻いています。こんなところに国試の難しさがあります。


4 東大式エゴグラム(TEG)は,抑圧・不安・達成の三つの自我状態で構成され,各自我状態のバランスから性格分析を行う。

新版TEG-Ⅱは,批判的な親(CP)・養育的な親(NP)・大人(A)・自由な子ども(FC)・従順な子ども(AC)の5つの自我状態で構成され,各自我状態のバランスから性格分析を行うものです。新版TEG-Ⅱは,質問紙法です。

5 内田クレペリン精神検査は,積木構成課題結果の心的活動の調和・均衡の様態から,種々の場面で適切な行動を示すことができるかどうかについて見立てる。

内田クレペリン精神検査は,ひたすら足し算する作業検査法です。よって間違いです。


〈今日の一言〉

今日の問題は,今見ると簡単そうに見えるかもしれません。しかし,実際の試験会場で見たとき,「視覚・運動ゲシュタルト機能」「積木構成課題結果」といった言葉が邪魔して,全体をとても難しくしています。

第30回国試にはほとんど見られなかった作問法です。

正解選択肢の作り方は一緒だとしても,周りに配置される間違い選択肢を複雑にすると,途端に問題の難易度が上がります。

また,勉強不足の人はほとんど答えられない作問法となります。

国試はいつも・・・

少しずつ同じで,少しずつ違う


この少しずつ違うの部分の作り方次第で,問題の難易度は大きく変わります。

少しずつ違うにアジャスト(適応)するには,さまざまな知識を総動員しなければならないからです。











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