今日のテーマ
答えはこれだ! と思える問題は少ない!!
それでは今日の問題です。
第27回・問題3 糖尿病に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 診断には,尿糖の所見が必要である。
2 自覚症状がなければ,糖尿病と診断されない。
3 現在,糖尿病性腎症は透析導入に至る原因の第1位である。
4 1型糖尿病では,インスリン療法と食事療法を併用しない。
5 2型糖尿病では,インスリン療法を行わない。
今なら,参考書に書かれているので,そんなに難しく思えないかもしれません。
しかし,最初にこの問題を見た人は,とても難しく感じたことでしょう。
なぜなら,それまで参考書に書かれていなかっものが正解選択肢になっているからです。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 診断には,尿糖の所見が必要である。
まずこの問題が分かりません。こういうときは,冷静に▲をつけておきます。
結果的にこれは間違いです。
なぜなら糖尿病では尿糖が見られますが,それをもって糖尿病だと診断されるわけではないからです。つまり尿糖が見られなくても糖尿病と診断されることがあるということです。
2 自覚症状がなければ,糖尿病と診断されない。
糖尿病の初期に,自覚症状がある人は少ないです。よって間違いです。
3 現在,糖尿病性腎症は透析導入に至る原因の第1位である。
これが最も分からないものです。これをすぐ正解にできる人は少ないでしょう。
糖尿病性腎症は,糖尿病の三大合併症ではありますが,これが一位かどうかが分からないからです。
こういうときは,冷静に▲をつけておきます。
4 1型糖尿病では,インスリン療法と食事療法を併用しない。
1型糖尿病は,自己免疫によって膵β細胞が破壊されて発症します。基本はインスリン療法ですが,食事療法を併用します。
5 2型糖尿病では,インスリン療法を行わない。
日本人の95%は2型糖尿病です。基本は食事療法ですが,インスリン療法も用いられます。
さて,選択肢1と選択肢3が残ります。
1 診断には,尿糖の所見が必要である。
3 現在,糖尿病性腎症は透析導入に至る原因の第1位である。
分からないときは,解答テクニックを使います。
言い切り表現に正解少なし。
必要である。
が言い切りになっています。選択肢1は消去して3が残ることになります。
本来の国試は,このような出題スタイルが多いです。
これが,答えがこれだ! と思える問題は少ない,という意味です。
最新の記事
児童手当法と児童手当
今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
質的調査では,インタビューや観察などでデータを収集します。 その際にとる記録をフィールドノーツといいます。 一般的には,野外活動をフィールドワーク,野外活動記録をフィールドノーツといいます。 こんなところからも,質的調査は,文化人類学から生まれてきたものであることがう...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
今回は,ピンカスとミナハンが提唱したシステム理論を取り上げたいと思います。 システム 内容 クライエント・システム 個人,家族,地域社会など,クライエントを包み込む環境すべてのも...
-
ヒラリーという人は,さまざまに定義される「コミュニティ」を整理しました。 その結果,コミュニティの定義に共通するものとして ・社会的相互作用 ・空間の限定 ・共通の絆 があることが明らかとなりました。 ところが,現代社会は,交通手段が発達し,SNSやインターネットなどによって,人...
-
絶対に覚えておきたい社会的役割は, 第1位 役割期待 第2位 役割距離 第3位 役割取得 第4位 役割葛藤 の4つです。 今回は,役割葛藤を紹介します。 役割葛藤とは 役割に対して葛藤すること 役割葛藤を細かく分けると 役割内葛藤と役割間葛藤があ...