第30回国試は,過去にはない99点というボーダーライン(合格基準点)になりました。
受験された方にはとても厳しい試験になったと思います。
しかし,だからと言って合格基準が100点に上がったわけではありません。
合格基準はあくまでも,90点(60%)程度です。
いわゆるボーダーラインは,試験センターが持っているデータから難易度は計算されて設定されています。
第30回国試のボーダーラインが99点になったからと言って,第31回国試が70%程度になるわけではありません。
ここで注意していただきたいのは,第30回国試を受験されて,来年再受験される方です。
少し乱暴な計算になりますが,第29回と第30回の国試では,ボーダーラインが115%アップしています。
第29回をベンチマーク(目標とする数値)にして補正すると,得点は1.15で割る必要があります。
つまり第30回の99点は,第29回と同じ難易度だった場合は,86点程度という補正方法です。
さて,第31回で合格を目指す勉強法です。
第30回の点数を1.15で割って,90点までの差が実力をつけたい点数をいうことになります。
例えば,第30回で90点だった場合,78点となるので,合格するのに必要な点数は,12点ということになります。
この計算式を参考にして,来年の国試での合格を目指していきましょう。
勉強法は,何も変わるものではありません。
大切なのは,一つひとつを確実に覚えて,今一歩ずつ先に進んでいくことです。
〈何度か受験されている方へ〉
国家試験は,年度によって難易度が違います。前年から比べて何点上がった,何点下がったということをベンチマークにすると,正しい実力を測ることができません。
前年度のボーダーラインから補正した数値をベンチマークにすると単純な点数ではない,相対的な点数が見えてくることでしょう。
模擬試験も同じです。
模擬試験は会社によってまったく難易度が違います。例えば「90点を取ろう」という90点をベンチマークにすると,難易度が高い模試の場合は,クリアできなくなってしまいます。
模試の場合は,「上位○%に入る」といった数値をベンチマークにするのが適切だと思います。
それだと難易度が上下していても自分の実力を正しく測ることができるでしょう。
さて,それでは今日の問題です。
第27回・問題11 ストレスとストレス対処法(コーピング)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ある友人との人間関係が悪化して悩んでいたが,機会をとらえ,仲直りし,悩みが解消した。これは問題焦点型コーピングである。
2 音楽の発表会であがりそうになったが,課題曲を思い浮かべ演奏のリハーサルをしていたら気分が楽になった。これは情動焦点型コーピングである。
3 試験前に緊張したが,深呼吸をして,試験が終わった後の楽しい旅行のことを思い浮かべたら,落ち着いてきた。これは問題焦点型コーピングである。
4 仕事量が多く心身の調子が悪くなったので,上司に相談し仕事量を軽減したら回復した。これは情動焦点型コーピングである。
5 仕事で小さいミスをして気分が落ち込んでいたので,ある友人とカラオケに行ったら元気が出てきた。これは問題焦点型コーピングである。
前回は防衛機制を取り上げました。
防衛機制は,無意識に行われます。それに対し,コーピングは,多くの場合は意識的に行われます。
コーピングには2種類あります。
問題焦点型コーピング → ストレスを感じているそのものを解消するもの。
情動焦点型コーピング → ストレスを感じないようにするもの。
それでは詳しく解説していきます。
1 ある友人との人間関係が悪化して悩んでいたが,機会をとらえ,仲直りし,悩みが解消した。これは問題焦点型コーピングである。
ストレスの原因は,友人との人間関係悪化です。仲直りすることで問題を解消しています。ストレスを感じているそのものを解消する問題焦点型コーピングです。よって正解です。
2 音楽の発表会であがりそうになったが,課題曲を思い浮かべ演奏のリハーサルをしていたら気分が楽になった。これは情動焦点型コーピングである。
あがるのは「うまくいかないかもしれない」と気持ちです。失敗しないようなリハーサルするのは,ストレスを感じているそのものを解消するものです。つまり問題焦点型コーピングです。よって間違いです。
3 試験前に緊張したが,深呼吸をして,試験が終わった後の楽しい旅行のことを思い浮かべたら,落ち着いてきた。これは問題焦点型コーピングである。
楽しい旅行のことを思い浮かべるのは,ストレスを感じないようにするものです。つまり情動焦点型コーピングです。よって間違いです。問題焦点型コーピングにするためには,今まで勉強してきたことを確認していくことでしょう。
4 仕事量が多く心身の調子が悪くなったので,上司に相談し仕事量を軽減したら回復した。これは情動焦点型コーピングである。
問題は仕事量が多いことです。仕事量を減らすのは,ストレスを感じているそのものを解消する問題焦点型コーピングです。よって間違いです。
5 仕事で小さいミスをして気分が落ち込んでいたので,ある友人とカラオケに行ったら元気が出てきた。これは問題焦点型コーピングである。
カラオケでストレスを発散するのは,ストレスを感じないようにする情動焦点型コーピングです。よって間違いです。
心理学理論と心理的支援は,旧カリキュラムでは「心理学」という科目でした。
その当時は,心理学の難しい問題が出題されていましたが,現在は「心理的支援」の側面が意識されているので,そんなに難しい問題は出題されません。
そのおかげで攻略できる科目になっているのです。
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