試験後に開催された平昌パラリンピックの開会式の放送ではパラリンピックの歴史が語られていました。
第30回国試を受験された方はその放送を見た時,その情報は耳に入り,しっかり記憶に残ったことでしょう。
情報を得るチャンスはどれでも平等にあります。
しかし多くの場合は,その情報は目の前を通り過ぎていき,キャッチされることがありません。
パラリンピックの話は,興味があることの大切さを学んだように思いました。
さて,今日のテーマは,リハビリテーションです。
リハビリテーションの歴史をひもとくと,第一次世界大戦後の軍人の社会復帰の目的を契機として始まっています。
これで,第一次世界大戦ではリハビリテーション,第二次世界大戦ではパラリンピック,といったように一つの線で結ばれます。
さて,それでは今日の問題です。
第27回・問題7 リハビリテーション全般に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 健全な身体部位は,リハビリテーションの対象ではない。
2 医学的リハビリテーションには,作業療法士は関与しない。
3 包括的リハビリテーションには,薬物療法が含まれる。
4 精神科デイケアには,理学療法士の配置が必要である。
5 内部障害は,リハビリテーションの対象ではない。
一般的なイメージと実際にずれがあるところは要注意です。
これから勉強していくうえで「あれっ?」と疑問に思ったことはぜひメモしておきましょう。
それらが国試でねらわれやすいポイントとなります。
勉強した人と勉強不足の人では,そのようなポイントが得点差になりやすいからです。
さて,リハビリテーションは,一般的に身体機能の回復,というイメージが強いと思います。
リハビリテーションには,「医学」「職業」「教育」「社会」という4つの側面があります。身体機能に限られているわけではありません。各リハビリテーションについては,各自で押さえておいてください。
近年では,さらに「包括的リハビリテーション」という概念が生まれています。包括的という意味は,さまざまな職種によってさまざまな視点からリハビリテーションを行う,といったものです。
つまりリハビリテーション専門職が行うものだけではないということです。
それらを頭に入れて,解説していきましょう。
1 健全な身体部位は,リハビリテーションの対象ではない。
リハビリテーションは,機能低下させないという面もあります。現時点では健全な部位にもかかわっていきます。よって間違いです。
2 医学的リハビリテーションには,作業療法士は関与しない。
医学的リハビリテーションは,治療の一環として実施されるものです。作業療法士は,作業療法を用いてかかわっていきます。よって間違いです。
3 包括的リハビリテーションには,薬物療法が含まれる。
包括的リハビリテーションは,かなり広範囲にわたる概念です。薬物療法は,医学的リハビリテーションでも実施されますし,自閉症などの発達障害などにも用いられることがあります。よって正解です。
4 精神科デイケアには,理学療法士の配置が必要である。
理学療法士と作業療法士の違いは,理学療法士は身体に障害のある者を対象,作業療法士は身体及び精神に障害のある者を対象とします。精神障害領域にかかわるのは,作業療法士であって,理学療法士ではありません。よって間違いです。
5 内部障害は,リハビリテーションの対象ではない。
また,今回も内部障害が出題されています。
内部障害は,心臓機能,腎臓機能,HIVによる免疫機能,そして肝臓機能などの障害です。
医学的リハビリテーション,職業的リハビリテーションが行われます。よって間違いです。
〈今日の一言〉
内容がわからなくても,今日の問題は
あいまい表現に正解多し。
言い切り表現に正解少なし。
の典型例となっているので,そこに気が付くと瞬時に答えを出すことができることでしょう。