2018年6月21日木曜日

福祉行財政と福祉計画の攻略法~数字の覚え方のコツ

今日から,福祉行財政と福祉計画の中の「福祉行財政の動向」に入ります。

たくさんの数字が出てきます。

どの数字を覚えたらよいのか分からない

国試が近くなるという焦りの声が聞こえてきます。

勉強していたのは,平成27年度なのに,そのあと,新しい数字が発表されている。その数字を覚え直さなければならないのか。

といった理由からでしょう。

しかし国試では小さな違いを問う問題は絶対にありません。

それは,チームfukufuku21が過去に指摘していることです。

国家試験に出てくる数字を覚えるコツ!!(2017/09/14)
http://fukufuku21.blogspot.com/2017/09/blog-post_14.html

この記事の中にありますが,年度によって順位が変わるものを出題することはまずありません。

問題を作るときの基準の中に,おそらくこれも含まれているのではないか,と推測しています。

それでは,今日の問題です。

第22回・問題44 「地方財政白書」(平成21年版)に示された平成19年度の我が国の地方財政の状況に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 国と地方を通じた財政支出(最終支出・約150兆円)のうち,国と地方の割合は,およそ6:4である。

2 地方公共団体の歳出を目的別に見てみると,民生費が最も大きな割合を占め,以下,教育費,土木費の順となっている。

3 地方公共同体の民生費の歳出を目的別に見てみると,生活保護費が最も大きな割合を占め,以下,老人福祉費,児童福祉費の順となっている。

4 地方公共団体の歳入の純計(一般財源と特定財源を含む)において,地方税による歳入は,約6割を占めている。

5 市町村のうち,実質収支が赤字で,いわゆる赤字団体となっている自治体は,全体の約2割を占めている。

なんて古い問題を出すのか
と思う人もいるでしょう。
しかし,ここに勉強の本質があるのです。
そこを押さえているか否かによって,学習効率も得点力も大きく変わります。

数字を覚える時のポイント
・順位(1位)。
・多い(あるいは少ない)方に着目。
・5割を超えているのか,超えていないのか。
・なぜそうなっているか。

そこを意識しながら,勉強していきましょう。
それでは解説です。

1 国と地方を通じた財政支出(最終支出・約150兆円)のうち,国と地方の割合は,およそ6:4である。

最新の数字である平成27年度の財政支出は,168兆円となっています。しかし,国と地方の割合は,この当時とあまり変わらず,国が4,地方が6,という割合です。よって間違いです。

支出は地方が大きいと押さえます。

理由はたくさんあると思います。その一つとして,福祉に目を向けると,市町村は基礎的自治体で住民サービスを行っているからだ,というのもあるでしょう。

2 地方公共団体の歳出を目的別に見てみると,民生費が最も大きな割合を占め,以下,教育費,土木費の順となっている。

これが正解です。

民生費とは,地方公共団体が福祉に要する費用を言います。

2000年以前には,土木費が一番多かった時代もありますが,現在は民生費がどんどん大きくなって,ずっと1位です。絶対王者という位置づけだと思ってよいでしょう。

今日の問題は,現行カリキュラムの第1回の国試である第22回です。

今後,民生費を出題するから,気をつけなさい,と示した問題です。

3 地方公共同体の民生費の歳出を目的別に見てみると,生活保護費が最も大きな割合を占め,以下,老人福祉費,児童福祉費の順となっている。

次は民生費の内訳です。最も多いのは児童福祉費です。2位は社会福祉費であったり,老人福祉費であったりしています。しかし生活保護費はいつもそんなに多くはありません。

少子化にも関わらず,児童福祉費がなぜ多いのか,と思う人もいるでしょう。

このように,一般的なイメージと違うところが狙われやすいところです。

日本は小・中学校は義務教育によって,基本的には無料です。本当は教科書代なども無料であって良いのですが,ある時の国会答弁によって,教科書代は除かれることになってしまったと言われています。

本題に戻ります。毎年100万人が誕生しています。900万人は義務教育を受けていることになります。実際には保育などもあるので,児童福祉の対象はもっと多いと思います。

高齢化率は高くなっていますが,すべての高齢者が福祉を理由としているわけではありません。しかも現在は福祉ではなく,社会保険で介護サービスが提供されています。

児童福祉費が一番多いのは,こういった理由からです。

4 地方公共団体の歳入の純計(一般財源と特定財源を含む)において,地方税による歳入は,約6割を占めている。

この設問もこれまでに何度も出題されてきたものです。

三位一体改革によっ,財源が地方に移譲されていますが,半分まで至っていません。約35%です。

2位は地方交付税,3位が国庫支出金です。


5 市町村のうち,実質収支が赤字で,いわゆる赤字団体となっている自治体は,全体の約2割を占めている。

赤字になっているのは,1%未満です。厳しい状況にありますが,2割には至っていません。

国から地方にわたるお金には,地方交付税と国庫支出金があります。

地方交付税は近い道が決まっていないものです。

国庫支出金は近い道が決まっているものです。

<今日のまとめ>

税金には,国が集める国税と地方が集める地方税があります。

今は,地方の時代。地域共生社会は,地域の知恵と工夫によって構築されます。
国が決めて,地域がそれに従って事務を行うという時代は福祉に限れば過去のものとなりつつあります。

そこを押さえると,地方の収入で

国庫支出金が最も多いということはあり得ないと思います。このようになぜそうなっているのかを考えながら勉強していきましょう。

そうすれば,必ず得点力は上がります。

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