3年間の過去問を3回解けば合格できるよ
今までは,根拠のないアドバイスをどんな意味でするのだろう
とその話を耳にするたびに腹立たしく思ってきました。
しかし,最近はとてもありがたく思うようになってきました。
なぜなら,みんなが本気で勉強したら,合格基準点が限りなく高くなることもあり得るからです。
合格するつもりがなく受験する,いわゆる「記念受験組」は国試会場では迷惑な存在でしたが,この人がいることで,合格基準点がそれほど上がらずに済んでいました。
記念受験組がいないと,受験者の競争になってしまいます。
国はどのように考えているのかが,今年の国試で見えたように思います。
つまり,重視しているのは「合格率」だと思うのです。
そういった意味で,
3か月で合格できるよ
3年間の過去問を3回解けば合格できるよ
はありがたいアドバイスだと思うのです。
なぜなら,それらのアドバイスを真に受けた人は,合格することはかなり難しいです。
ある人は
早くから勉強したら忘れるから追い込み勉強で集中した方がいいよ
というアドバイスを信じて,11月から勉強を始めて不合格になりました。
よく聞くとアドバイスしてくれた人は,医師であり,社会福祉士を取った人らしいです。
特殊な人のアドバイスは参考になりません。
国試の理想形は・・・
勉強した人が解けて,勉強が足りない人は解けない
というものだと思っています。
勉強した人も勉強が足りない人も解けない
あるいは
勉強が足りない人も解ける
というのは,資格試験には適切な出題ではないと思います。
それでは今日の問題です。
第24回・問題46 福祉に関する計画と財政との関係に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 児童福祉法において,市町村保育計画に定める保育サービス供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した保育費用の予想額等に照らし,市町村は保護者から徴収する保育料の水準を定めることとされている。
2 次世代育成支援対策推進法において,一般事業主行動計画に定めた女性の雇用目標を達成しなかった一般事業主は,到達水準等に照らして算定された納付金を賦課されることとされている。
3 介護保険法において,市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込み量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額等に照らし,市町村は第1号被保険者に対する介護保険料率を算定することとされている。
4 障害者基本法において,障害者基本計画に定める公共的施設のバリアフリー化の整備目標量等に基づいて算定した整備費用の予想額等に照らし,公共交通事業者はバリアフリー化費用の一部を利用者から徴収することができることとされている。
5 社会福祉法において,市町村地域福祉計画に定める地域における社会福祉事業の供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した各種事業費用の予想額等に照らし,市町村は市町村民税について超過課税を行うことができることとされている。
この問題は,前回の問題と違い,国試問題としての破たんがありません。
内容も国試の理想形である
勉強した人が解けて,勉強が足りない人は解けない
を実現していると思います。
答えは3。それ以外はすべてでたらめ文章です。
介護保険法において,市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込み量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額等に照らし,市町村は第1号被保険者に対する介護保険料率を算定することとされている。
これだけを読めば,これが正しいものだと思えるはずです。
勉強が足りない人は,言い回しをそろえた他の選択肢に惑わされて,ここにたどり着くのそんなに簡単ではないはずです。
間違い選択肢をうまく作って,正解選択肢を隠していると思います。
勉強不足の人は,簡単に試験委員が仕掛けたトラップに引っ掛けられていきます。
ほかの選択肢の解説はしません。
〈今日の一言〉
この問題を初めて見たときは,とても難しく感じたはずです。
なぜなら,間違い選択肢はすべてでたらめ文章なので,どんな勉強した人でも知らない文章だからです。
それが国試の怖さです。
しかし,しっかり勉強を重ねたら,試験委員が仕掛けたトラップに引っ掛けられることなく,正解にたどり着けます。
特に「福祉行財政と福祉」はそのように問題が作成されています。
今はとにかく基礎力をつける時です。