2018年6月24日日曜日

福祉行財政と福祉計画の攻略法~基本は過去問

「●●白書に目を通しましょう」

と言う先生がいます。

しかし,私たちチームfukufuku21はそういうことを安易に言う人が嫌いです。

具体的に「ここの部分をこのように気を付けて目を通しなさい」という人は信用できますが,単に「目を通しておくように」というのは,あまりにざっくりしすぎているからです。

特に国試対策の先生が言う言葉ではありません。

学校の勉強なら,白書に目を通して全体像を押さえることは必須でしょう。

国試に向けた勉強ではそんな時間はありません。

効率的な勉強が欠かせません。

時には,「急がば回れ」も重要なことがありますが,白書類だけは,「回って回って,道に迷う」と思っています。白書の情報量は膨大です。

だからこそ,ポイントを教えてほしいのです。

さて,今日のテーマは「基本は過去問」です。

これは,「福祉行財政と福祉計画」に限りませんが,特にこの科目は,過去問分析が重要です。

なぜならこの科目は

少しずつ重なっていて,少しずつ違う

のルールに従って,過去を積み重ねることで,問題が構築されているからです。

そうしないと,0点を取る人が続出してしまうからだと考えられます。

今日の問題もそんな問題です。

第28回・問題45 「平成27年版地方財政白書」(総務省)に基づく2013年度(平成25年度)の市町村の民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

5 民生費の目的別扶助費の状況をみると,補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。

答えは,すぐ分かるはずです。

正解は,選択肢2です。

民生費の内訳で最も多いのは,児童福祉費だからです。

第30回国試では,特別会計(介護保険と国民健康保険)と合わせて出題されてびっくりしましたが,考えてみたら,福祉と社会保険では社会保険の方が会計規模が大きくなるのは当然です。

なぜなら,福祉は税が財源ですが,社会保険は税+社会保険で運用しているからです。

1が間違いなのは,民生費が最も多いからです。

2は正解。

3は市町村のほうが多いです。市町村は基礎的自治体として住民サービスを直接行うからです。

4が間違いなのは,扶助費が最も多いからです。

5が間違いなのは,補助事業の方が多いからです。


<今日のまとめ>

この5つの選択肢は,また何度も出題されるのかもしれませんが,この中でダークホースなのは,選択肢5です。補助事業が85%,単独事業が15%。圧倒的に補助事業が多いです。

補助事業は補助がある事業,単独事業は自主財源で行う事業です。

補助事業が多い,というのは,福祉に関しては,国が筋道をつけたものに従って地方が動いていることを示しています。

つまり,地方税や地方交付税はの一般財源は,福祉には多く使われずに,他の領域に使われていると言えるのではないでしょうか。

これからは,補助事業に頼らず,一般財源で地域共生社会を作り上げていかなければなりません。

国庫補助から一般財源化する,という流れは,「我が事・まるごと地域共生社会」に沿ったものなので,選択肢5がダークホースだと考えるわけです。

白書も福祉の勉強には重要ですが,効率的な勉強をするためには,この科目では,過去問を丁寧に取り組むほうがよいと思います。

白書を読んでも,そこからどのように出題されるか分かりませんし,目を通したからと言って膨大な情報を覚えられるとは思います。

ただし,古い過去問は,制度が古くなっていることがあるので,古本屋で購入することはお勧めしません。
そのため,学校によっては,過去問を最新の内容にして,提供してくれる学校もあると思います。

そうでない人は,過去問を整理したものが参考書なので,やっぱり参考書を丁寧に取り組むのが良いと思います。

白書に興味があるなら,資格取得後,あるいは3年次以前に読みましょう。

国試勉強で白書が必要なのは,全部に目を通すことではなく,過去問や参考書に取り組んでいる時,理解を深めるために使用します。


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