現在は150問です。
第1回と第2回の国家試験は公開されていないので分かりませんが,第3~5回はなんと170問も出題されていたのです。
精神保健福祉士は現在163問ですが,それよりも問題数が多かった時代がありました。
第6回からは,150問となり,第30回に至るまで同じ問題数となっています。
倒産したT社
初期の頃の国家試験の参考書は,
C社「ワークブック」
T社「必携」
この2つしかなかった時代でした。
C社はどのように初期の参考書を作ったのかは知りません。
T社は,実際に受験した人に情報を聞いて,問題を再現したそうです。
問題が非公開だった時代に受験された方は本当に大変だったと思います。
その後,多くの出版社が参考書に参入してきました。
T社は,老舗だったにもかかわらず,後発組に負けて,数年前にとうとう倒産してしまいました。
「必携」がなぜ最後の方は売れなくなったのかは,今はよく分かります。
初期の問題は,問題数が多かったこともあり,一つひとつの問題がとてもシンプルでした。
A=B
つまり,リッチモンド=『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』といった単純な覚え方でも十分得点できたのです。
その時代に作った「必携」は,その後出題の仕方が変わったのにもかかわらず,初期のスタイルを基本的に変えなかったことが,売れなくなった理由だと考えられます。
ずばり,国試の変化に対応できなかったことが,倒産してしまった理由だと考えられます。
「球筋がキラキラ光って見えた」川上哲治
初期の問題であったとしても,今出題しても良い問題もあります。
しかし,この本の訳者はだれか,といった問題もあり,今見ると,出題意図がはっきり見えないものもありました。
いつ変化したのかは明確ではありませんが,今の国試問題は,出題意図が何となく見えるものが増えてきたように思います。
それが
「正解選択肢はキラキラして見える」と先日表現したものです。
「打撃の神様」と言われた故・川上哲治さんは,当時の日本のプロ野球の打率のトップだった.377を記録した年に,
「球筋がキラキラ光って見えた。バットはそこに向かって振るだけです」と語りました。
後年,彼は「球筋が光って見えたのは,その年だけだった」といったことを語っています。
それはさておき,彼が打撃の神様になったのは,他人の練習時間も奪ってしまうほど,練習に練習を重ねたことに他なりません。
もともとセンスはあったと思いますが,それを開花させたのは,徹底した練習だと考えられます。
川上さんは,日本版,元祖「二刀流」の人です。
社会福祉士の国家試験に合格できない間違った勉強法
さて,今日のテーマです。
T社は,国家試験という敵の変化に対応できませんでした。
もっと今の国試に精通した人が執筆メンバーにいればよかったのだと思います。
「国試」という目標を制覇するための戦略に欠けたと言えます。
「必携」が良かった理由は,
項目が分かりやすかったことです。
例えば
必携
かつて存在したT社が出版した社会福祉士国試の参考書。
といった感じです。
それに比べると,C社「ワークブック」は項目が独立していないので,読んでみないと何を指した内容か分からないといった感じです。しかし国試に必要な内容が書かれています。
この二つをうまく組み合わせることで,学習効果は上がったと言えます。
しかし,今は2つを組み合わせた勉強ができません。そこが残念でなりません。
まず「必携」の失敗談から学ぶことは,2つあります。
1 かつては良かったけれど,今が良いかは分からない。
2 国試に精通した人ではない人は,時代の変化に対応できない。
国試に失敗する人とは・・・
・全体像を押さえられない人。
・敵を知る努力をしない人。
の2つに集約できます。
すべての戦いは,情報収集力と分析能力が勝負を分けます。
一方,故・川上哲治さんのエピソードは「球筋がキラキラ光って見えた」が印象的です。
ここから学ぶべき点も2つあります。
・人の練習時間も奪ってしまうほどの練習量。
・自分の内部に潜む弱音心を克服した。
豊富な練習に裏付けられた自信が「球筋がキラキラ光った見えた」という今なら「神った」と状況を作り出したのではないでしょうか。
国試に失敗する人の共通点
・自分で限界を作っている。
・敵を知る努力をしない。
といったものが見えてきます。
ぜひ「正解選択肢がキラキラ光って見えた」という経験をしてみてください。
努力次第で,必ずそうなります。
ヒントは,今後もたくさん提供していきますが,最後は自分でつかみ取ることが大切です。
弱音心からは何も生まれません。
そして,敵(国試)を知らない人は,間違った覚え方をしてしまいます。
敵を知らない人の覚え方
ネットの個人ブロクは今はほとんど見たことはありませんが,かつてずっと見守っていたブロクがありました(今は合格して閉鎖)。
その人は,ある時,社会保障関係費の内訳を一つひとつ覚えようとしていました。
年金医療介護保険給付費(旧:社会保険費)〇%
生活保護費〇%
社会福祉費〇%
保健衛生対策費〇%
雇用労災対策費(旧・失業対策費)〇%
といった具合です。
覚えるのは,とても大変だと思います。そのために,語呂合わせを作って覚えていました。
しかし,国試で社会保障関係費で出題されるのは,
一般会計歳出に占める社会保障関係費の割合は30%。
社会保障関係費の70%以上が,年金医療介護保険給付費。
この2つだけです。
年金医療介護保険給付費が70%を超えているわけですから,ほかのものが20%,あるいは30%というものはないと想像できます。
例えば,
近年の生活保護受給者の高まりから,社会保障関係費に占める生活保護費の割合は3割を占めている。
といった出題がされても,生活保護費の割合が分からなくても,3割は占めることはない,と想像できるでしょう。もちろん間違いです。10%程度のところに
こんなことをそのブログにコメントした記憶があります。
敵を知らないことは・・・
努力しても,覚えるポイントがずれる
こんなことがあることを実感しました。
因みに30%という数字は,不思議に福祉に縁があり,
厚生労働省の予算も国家予算の約30%,予算額も約30兆円です。
今改めて,ネットで社会保障関係費を調べると,国の資料に
平成 29 年度予算における社会保障関係費は 32 兆 4,735 億円であり、一般会計歳出(97
兆 4,547 億円)の 33.3%を占める。前年度当初予算比で 4,997 億円(+1.6%)の増額となり、3年連続で 30 兆円を超え過去最大となった。社会保障関係費の内訳は、年金給付費 11 兆 4,831 億円(前年度比+1.5%)、医療給付費11 兆 5,010 億円(前年度比+2.0%)、介護給付費3兆 130 億円(前年度比+2.8%)、少子化対策費2兆 1,149 億円(前年度比+4.5%)、生活扶助等社会福祉費4兆 205 億円(前年度比+0.3%)、保健衛生対策費 3,042 億円(前年度比+6.2%)、雇用労災対策費 368 億円(前年度比▲73.0%)となっている。
平成 29 年度(2017 年度)社会保障関係予算― 医療・介護制度改革と一億総活躍社会に向けた施策 ―
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2017pdf/20170201079.pdf
と書かれているので,ここ数年のうちに内訳の表記が変わったのかもしれません。
こうなると,なおのこと,細かいことを覚えても意味がなくなるでしょう。
大局を押さえておけば,長く使える知識になります。
細かい部分にこだわると,それはすぐに陳腐な知識となり,すぐ使えなくなります。