今回も前説なしで,問題に入りたいと思います。
第25回・問題63 我が国における社会保険と公的扶助の性質・機能の違いに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会保険は原則として金銭給付により行われ,公的扶助は原則として現物給付により行われる。
2 社会保険は保険料の拠出を給付の前提とし,公的扶助は事前の納税を給付の前提としている。
3 社会保険では個別の事情に応じた給付が行われるのに対し,公的扶助では最低限度の生活を保障するために定型的に一律の給付が行われる。
4 社会保険は貧困に陥った後に給付が開始され,公的扶助は貧困に陥らないように事前に支給される。
5 社会保険では保有する資産に関係なく給付が行われるが,公的扶助では資産調査を経て給付が行われる。
この問題は,史上最も合格基準点が低かった第25回の問題です。
この国試はとても難解な問題が多かったですが,この問題は前回紹介した第22回とほとんど変わりありません。
このような問題をしっかり得点できることが合格の第一歩です。
それでは解説です。
1 社会保険は原則として金銭給付により行われ,公的扶助は原則として現物給付により行われる。
これは間違いです。
たとえば,社会保険の一つである医療保険は,療養の給付は現物給付ですが,出産育児一時金,出産手当金などは現金給付です。
公的扶助(生活保護)は,原則金銭給付が多いですが,原則現物給付とするものには,医療扶助と介護扶助があります。
2 社会保険は保険料の拠出を給付の前提とし,公的扶助は事前の納税を給付の前提としている。
これも間違いです。
社会保険は保険料の拠出を給付の前提とします。
しかし,公的扶助は事前の納税を給付の前提としません。
3 社会保険では個別の事情に応じた給付が行われるのに対し,公的扶助では最低限度の生活を保障するために定型的に一律の給付が行われる。
これも間違いです。
社会保険は,保険事故が生じた場合,その事実に基づき給付されます。
公的扶助では,最低限度の生活を送るのに不足する分らを給付します。
4 社会保険は貧困に陥った後に給付が開始され,公的扶助は貧困に陥らないように事前に支給される。
これも間違いです。
前回紹介したように,社会保険は防貧的機能があり,貧困に陥らないように給付されます。
公的扶助は救貧的機能があり,貧困に陥った後に給付されます。
5 社会保険では保有する資産に関係なく給付が行われるが,公的扶助では資産調査を経て給付が行われる。
これが正解です。
社会保険は,保険事故が生じたという事実に基づき給付されます。資産のありなしは関係しません。
公的扶助では,ミーンズテストと呼ばれる資産調査を行ったうえで給付します。
今は不正受給を防止するため,勤務先に給与のことで確認することもできるようになっています。
さらには,保護が廃止された後でも,保護を受けていた期間について,職場に確認できる規定があります。
<今日の一言>
前回の問題と今回の問題を重ねてみるととてもよく似ていることが分かると思います。
この科目は,出題範囲が狭いので,このような出題が多いのです。
そのめ過去問を勉強するのがとても有効な科目です。