生活保護の原理・原則
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早速今日の問題です。
第22回・問題60 生活保護法における基本原理及び原則に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 無差別平等の保護とは,生活に困窮した国民は無条件で保護を受ける資格があるという意味である。
2 保護の申請は,要保護者の扶養義務者には認められていない。
3 急迫した事由がある場合には,保護の要件を満たしていなくとも申請を受け付けた上で緊急的に保護を開始することができる。
4 保護は,個人を単位としているが,特別の場合には世帯を単位とすることもできる。
5 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,生活保護法による保護に優先して行われる。
しっかりポイントを押さえれば,難易度は高くはありません。
それでは解説です。
1 無差別平等の保護とは,生活に困窮した国民は無条件で保護を受ける資格があるという意味である。
無差別平等の原理に関する出題です。
「すべて国民は,この法律の定める要件を満たす限り,この法律による保護を,無差別平等に受けることができる」と規定されています。無
条件ではありません。
よって間違いです。
2 保護の申請は,要保護者の扶養義務者には認められていない。
保護申請の原則に関する問題です。
「保護は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする」と規定されています。
申請は扶養義務者にも認められています。
よって間違いです。
3 急迫した事由がある場合には,保護の要件を満たしていなくとも申請を受け付けた上で緊急的に保護を開始することができる。
これも申請保護の原則に関する問題です。
「要保護者が急迫した状況にあるときは,保護の申請がなくても,必要な保護を行うことができる」と規定されています。
よって間違いです。
4 保護は,個人を単位としているが,特別の場合には世帯を単位とすることもできる。
世帯単位の原則に関する出題です。
原則は世帯単位です。
よって間違いです。
5 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,生活保護法による保護に優先して行われる。
これが正解です。
保護の補足性の原理に関する問題です。
「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」と規定されています。
それでは,今回ももう一問です。
第23回・問題58 生活保護法における基本原理及び基本原則に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 法第1条は,最低限度の生活と無差別平等の保障を生活保護法の目的としている。
2 法第4条は,民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助を受けていることを保護の要件としている。
3 法第7条は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて保護を開始するとしている。
4 法第9条は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別に定められた範囲で,保護を画一的に行うと規定している。
5 法第10条は,世帯を単位として保護を行うことを規定しているが,世帯の基本的考え方はあくまでも同居の親族に限られる。
この問題では,「法●条は」という出題がされています。
こんな出題があると,「第●条=●●原理」「第●条=●●原則」と覚えなければならないと思うかもしれません。しかしそんなところには問題の本質はおかれていません。
このように少しずつ変化させて,問題の難易度を調整するのです。
問題の内容自体はそれほど難しくはありませんが,ちょっとした変化によって,とてつもなく難しくなるのが国試というものです。
変化球を投げられても動じないことが大切です。
同じようでも同じには出題されてこないことを心に銘記しておきましょう。
それでは解説です。
1 法第1条は,最低限度の生活と無差別平等の保障を生活保護法の目的としている。
生活保護法の目的は「最低限度の生活保障」と「自立の助長」です。
よって間違いです。
2 法第4条は,民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助を受けていることを保護の要件としている。
保護の補足性の原理に関する問題です。
「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」と規定されていますが,扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助を受けていることを保護の要件とはしていません。
よって間違いです。
3 法第7条は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて保護を開始するとしている。
申請保護の原則に関する問題です。
これが正解です。
4 法第9条は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別に定められた範囲で,保護を画一的に行うと規定している。
必要即応の原則に関する問題です。
「保護は,要保護者の年齢別,性別,健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して,有効且つ適切に行うものとする」と規定されています。画一的に保護を行うものではありません。
よって間違いです。
5 法第10条は,世帯を単位として保護を行うことを規定しているが,世帯の基本的考え方はあくまでも同居の親族に限られる。
世帯単位の原則に関する問題です。
住居と生計を同じくしていれば親族でなくても同一世帯だとみなされます。
また,出稼ぎなど同居していなくても同一世帯だとみなされます。よって間違いです。
<今日の一言>
生活保護の原理・原則はそんなに難しくはありませんし,出題頻度か極めて高いです。
しっかり押さえて得点できるようにしましょう。
こういったものを確実に得点できることが,合格できる30%に入るためにはとても大切です。
誰もが解けないような超難易度が高い問題を正解できると気持ちが良いですが,合格にはみんなが解ける問題が正解できることが何よりも大切なのです。