2018年9月15日土曜日

生活保護法の徹底理解~扶助の種類~その2

現在の生活保護法は,第二次世界大戦で疲弊した日本の社会不安と混乱の中で成立したものです。制度発足直後の昭和26年には,24パーミルを記録しています。

近年は保護率が高まり,17パーミルとなっていますが,当初は今よりもはるかに高かったのです。

さて,今回も扶助の種類を続けます。

第21回・問題26 生活保護制度における扶助の範囲と方法に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや移送について行うものであり,原則として金銭給付である。

2 教育扶助は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の修学費について行うものであり,原則として金銭給付である。

3 住宅扶助は,家賃等の住居費用,家屋に必要な水道設備等の修理,補修費用等について行うものであり,原則として現物給付である。

4 医療扶助は,診察,薬剤又は眼鏡等の治療材料等について行うものであり,原則として金銭給付である。

5 介護扶助は,要介護者に対して居宅介護,住宅改修等を,また要支援者に対して介護予防,介護予防住宅改修等を行うものであり,原則として金銭給付である。

この問題も前回に引き続き,旧カリキュラム時代の問題です。

それほど,長い言い回しはしていませんが,現在ならおそらく以下のようなものになるのではないでしょうか。

問題26 生活保護制度における扶助の方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助は,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,原則として金銭給付である。
3 住宅扶助は,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,原則として金銭給付である。

とても今っぽいと思いませんか?

これだと,選択肢2も正解になってしまうので,これを間違いにするためには,

1 生活扶助は,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,原則として現物給付である。
3 住宅扶助は,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,原則として金銭給付である。

としなければなりません。

正解は,選択肢1です。

なぜ上記では,選択肢2を金銭給付から現物給付に変えなければならなかったかと言えば,この選択肢だけ,金銭給付か,現金給付か,というところがポイントではなく,高等学校というところが間違いポイントになっていたためです。


原則,現物給付なのは,医療扶助と介護扶助のみ。

それ以外は,すべて原則金銭給付です。

勉強する時のポイントは,できるだけシンプルに覚えることです。

生活扶助は,原則金銭給付。
教育扶助は,原則金銭給付。

といったように8種類すべてを覚えるためには,8種類を覚えなければなりません。
そうではなく,

原則,現物給付なのは,医療扶助と介護扶助のみ!!

と覚えれば,たった一文で覚えられます。

問題文が長い方向に戻って出題されることは考えにくいですが,第30回の反省をもとにそのようなこともなくはないかもしれません。

そこで,長い問題文を読むときのポイントをお伝えしておきます。

1 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや移送について行うものであり,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の修学費について行うものであり,原則として金銭給付である。
3 住宅扶助は,家賃等の住居費用,家屋に必要な水道設備等の修理,補修費用等について行うものであり,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,診察,薬剤又は眼鏡等の治療材料等について行うものであり,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,要介護者に対して居宅介護,住宅改修等を,また要支援者に対して介護予防,介護予防住宅改修等を行うものであり,原則として金銭給付である。

ポイントは,ずばり

原則,現物給付なのは,医療扶助と介護扶助のみ

という知識が必要です。

問題文をざっと見た時,扶助の方法は,現金給付なのか,金銭給付なのかを聞いている文章だということが分かります。

細かく文章を読む必要はありません。

生活扶助 金銭給付

教育扶助 金銭給付

住宅扶助 現物給付

医療扶助 金銭給付

介護扶助 金銭給付

ここの部分を〇で囲みます。

すると,

生活扶助 金銭給付

教育扶助 金銭給付

が残り,後はすべて消去できます。

その時点で,

1 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや移送について行うものであり,原則として金銭給付である。

2 教育扶助は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の修学費について行うものであり,原則として金銭給付である。

を詳しく読みます。

そこで,選択肢2の中に教育扶助は義務教育なのに「幼稚園」と「高等学校」が含まれているので間違いだと判断します。

そして選択肢1が残ります。

このようなやり方をしないと,実に簡単な問題でも引っ掛けられます。

文章が長いと,その中に引っ掛けが多く含まれる可能性があるので,疑心暗鬼になり迷います。

迷いの道に入り込むと,そこから出てくるのは,至難の業となります。

<今日の一言>

第30回国試の合格基準点は,今までで最高の99点となりました。

とてもびっくりです。

これによって,どんな勉強をしたら良いか,分からなくなったという人もいることでしょう。

出題基準は変わっていないので,覚える内容は一切変わりません。

解ける問題は,確実に得点するということが必要なのです。

<例1>
生活保護制度における扶助の範囲と方法に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや移送について行うものであり,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の修学費について行うものであり,原則として金銭給付である。
3 住宅扶助は,家賃等の住居費用,家屋に必要な水道設備等の修理,補修費用等について行うものであり,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,診察,薬剤又は眼鏡等の治療材料等について行うものであり,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,要介護者に対して居宅介護,住宅改修等を,また要支援者に対して介護予防,介護予防住宅改修等を行うものであり,原則として金銭給付である。

<例2>
生活保護制度における扶助の方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助は,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,原則として現金給付である。
3 住宅扶助は,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,原則として金銭給付である。

どちらが解きやすいか,といえば明らかに<例2>でしょう。
そのため,例2のように出題すると,正解率が上がるのです。

しかし,覚えておくべきものは,何ら変わっていません。

教育扶助は義務教育の分に給付されることは他の時に覚えておかなければならないからです。

合格基準点が上がろうと下がろうと,勉強することはまったく変わることはありません。

90点が99点になったから覚えることが多くなるのか。

90点が72点になったから覚えることが少なくなるのか。

そんなことは一切ありません。

取れる問題は確実に取る。

そのためには,覚え方はシンブルに,しかも確実に覚えていくことが必要です。

チームfukufuku21は,そのためのポイントをお伝えしていきたいと思います。

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