それでは早速今日の問題です。
第25回・問題66 生活保護における各種の扶助に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助には,基準生活費に当たる第1類費や第2類費のほか,各種の加算があり,うち,母子加算は,母子世帯のほか父子世帯も対象としている。
2 生活扶助は,個々人に必要な生活費としての側面もあるため,世帯員が複数の場合,個人に対して金銭が給付されるのが原則である。
3 教育扶助は,高校や大学での修学にも対応できるよう,義務教育終了後においても支給される。
4 医療扶助は,医療保険制度による指定医療機関に委託して行われ,現物給付を原則としている。
5 生業扶助は,現に就いている生業の維持を目的とするため,生業に就くために必要な技能の修得はその範囲に含まれない。
この問題は,合格基準点が過去最低の72点となった第25回のものです。
近年とは,問題の感じが違うと思いませんか。
問題文が説明的になっているのです。
今風に,問題をつくり直してみましょう。
第25回・問題66 生活保護における各種の扶助に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助の母子加算は,父子世帯も対象としている。
2 生活扶助は,世帯員が複数の場合,個人に対して金銭が給付されるのが原則である。
3 教育扶助は,義務教育終了後においても支給される。
4 医療扶助は,医療保険制度による指定医療機関に委託して行われる。。
5 生業扶助は,生業に就くために必要な技能の修得はその範囲に含まれない。
文字数では110字ほど短縮されています。
文字数が短くなれば,文章の不自然さがなくなるので,日本語的に解けることはまずありません。
知識がある人は解ける。
知識がない人は解けない。
知識がなくても解けるような問題ではだめなのです。
また
知識があっても解けない問題ではだめなのです。
受験する人にとっては過酷ですが,正しい国試のすがたになってきたと言えるでしょう。
それでは解説です。
1 生活扶助には,基準生活費に当たる第1類費や第2類費のほか,各種の加算があり,うち,母子加算は,母子世帯のほか父子世帯も対象としている。
これが正解です。
母子加算は,当初は母子家庭を対象としていましたが,一時期廃止されて,それが復活した際,母子家庭も対象としました。
第1類費は,個人の消費のために支給されます。年齢別によって金額が異なります。
第2類費は,世帯の消費のために支給されます。世帯人数によって金額が異なります。
2 生活扶助は,個々人に必要な生活費としての側面もあるため,世帯員が複数の場合,個人に対して金銭が給付されるのが原則である。
生活保護の原理・原則の中に「世帯単位の原則」があります。
原則は世帯単位,例外事項は個人単位です。
よって間違いです。
3 教育扶助は,高校や大学での修学にも対応できるよう,義務教育終了後においても支給される。
教育扶助は,義務教育に支給されます。高校等は,生業扶助の高等学校等就学費が支給がされます。
4 医療扶助は,医療保険制度による指定医療機関に委託して行われ,現物給付を原則としている。
これを正解にした人が多かったと思いますが,正解ではありません。
医療扶助=現物給付
の部分は合っていますが,医療扶助を行う指定医療機関は,医療保険制度ではなく,生活保護法の指定医療機関,あるいは医療保護施設で実施します。
今では考えられない引っ掛けです。
5 生業扶助は,現に就いている生業の維持を目的とするため,生業に就くために必要な技能の修得はその範囲に含まれない。
生業扶助は,被保護者の就労支援なので,極めて重要です。
生業扶助は
生業に必要な資金,器具又は資料
生業に必要な技能の修得
就労のために必要なもの
とされています。
生業に就くために必要な技能の修得も含まれます。
よって間違いです。