国・都道府県・市町村の役割が少しややこしいのは,福祉事務所を設置しない町村の役割があるからです。
まずは復習です。
福祉事務所を設置しない町村長
その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して,応急的処置として,必要な保護を行うものとする。
保護の実施機関又は福祉事務所の長が行う保護事務の執行を適切ならしめるため,次に掲げる事項を行うものとする。
一 要保護者を発見し,又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において,速やかに,保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二 第二十四条第十項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取った場合において,これを保護の実施機関に送付すること。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,被保護者等に対して,保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,要保護者に関する調査を行うこと。
それでは今日の問題です。
第29回・問題63 生活保護制度について,国,都道府県及び市町村の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国は,居住地がないか,又は明らかでない被保護者の保護に要する費用の全額を負担する。
2 厚生労働大臣以外の者は,生活保護法に基づく医療機関を指定することができない。
3 都道府県知事は,生活保護法に定める職権の一部をその管理に属する行政庁に委任することができない。
4 人口5万人未満の市は,福祉事務所を設置しなくてもよい。
5 福祉事務所を設置していない町村の長は,特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して応急的な処置として必要な保護を行う。
すぐ答えは分かると思いますが,解説です。
1 国は,居住地がないか,又は明らかでない被保護者の保護に要する費用の全額を負担する。
これは間違いです。
居住地がないか,又は明らかでない被保護者の保護に要する費用は,国が4分の3,都道府県が4分の1を負担します。
2 厚生労働大臣以外の者は,生活保護法に基づく医療機関を指定することができない。
これも間違いです。
指定は,厚生労働大臣,都道府県知事が行います。
3 都道府県知事は,生活保護法に定める職権の一部をその管理に属する行政庁に委任することができない。
これも間違いです。
法では「都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる」と規定しています。
4 人口5万人未満の市は,福祉事務所を設置しなくてもよい。
これも間違いです。規模に関わりなく,市には設置義務があります。
5 福祉事務所を設置していない町村の長は,特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して応急的な処置として必要な保護を行う。
これが正解です。
結局極めて基本的なものが正解になっています。
<今日の一言>
国試は,
少しずつ重なっていて,少しずつ違う
少しずつ重なっている部分が正解選択肢になります。
少しずつ違うところが間違い選択肢になります。
知らないものが出題されても,落ち着いて読めば,多くの場合はそこには答えはないものです。
つまり,基礎的なものをしっかり押さえることができれば,必ず得点力になります。
そこには応用も何もありません。ひたすら基礎力をつけていきましょう。
まだまだ時間はあります。
あきらめちゃだめです。