2018年9月27日木曜日

生活保護法の徹底理解~生活保護の実施~その3

今回が生活保護の実施の最終回です。

今日は前説なしで,事例問題です。

問題28・問題66 事例を読んで,Gさんの保護を行う実施機関として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
単身のGさんは,非正規雇用でP市の会社で働いていたが雇用期間が満了しそれまで住んでいたQ市のアパートを退去した。1か月後,野宿をしていたR市にある河川敷で体調をくずし倒れた。通報によりS市の医療機関に救急搬送され入院した。Gさんは,T市に住民登録をしているが,医療費と生活費の捻出が困難な状況にある。

1 P市の実施機関である。
2 Q市の実施機関である。
3 R市の実施機関である。
4 S市の実施機関である。
5 T市の実施機関である。

保護は,居住地の保護の実施機関が行います。

居住地がない,又は居住地が不明な場合は,現在地の保護の実施機関が行います。

今日の問題の答えは,Gさんが救急搬送された現在地であるR市なので,正解は選択肢3です。

もう一つ,事例問題を行きます。

第22回・問題61 35歳独身のDさん(本籍地P市)は,Q市の会社で働いていたが,解雇されるまで住んでいたR市のアパート(住所地)を出ざるを得なくなった。新たな仕事は見つからずS市にある公園で野宿を続けていた。ある日公園で倒れていたところを警察官が発見し,通報により救急車で隣県T市の病院に搬送された。Dさんは,病院で肝硬変で当面入院が必要と診断されたが,医療費と生活費の捻出が困難なため生活保護の申請に至った。
 次のうち,Dさんに対して生活保護を実施する福祉事務所の所在地として,適切なものを一つ選びなさい。

1 P市(Dさんの本籍地)
2 Q市(会社の所在地)
3 R市(Dさんの住所地)
4 S市(野宿をしていた公園の所在地) 
5 T市(搬送された病院の所在地)

Dさんは,本籍地はあっても居住地はありません。

そのため,一つ目の問題と同じように,現在地の保護の実施機関が保護を行います。

そうすると,Dさんが野宿していたS市ということになります。選択肢4が答えです。


<今日の一言>

第22回と第28回の2回しか出題されたことがないタイプの問題ですが,問題を解く時のポイントは,保護の実施機関は,居住地であるか,現在地か,というところに集約されるのが分かると思います。

事例は,5つの市が出てくるので,複雑そうに見えます。

しかし,ポイントは「居住地があるのかないのか」だけです。

それだけを見極めれば,答えは引き出せるでしょう。

次回からは,法制度に関する科目の出題基準には,必ず含まれる「国・都道府県・市町村」の役割を押さえていきましょう。

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