前説なしで今日の問題にいきましょう。
第30回・問題73 医療提供体制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険薬局は,居宅における医学的管理,指導を行う。
2 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は,口腔機能の管理を行う。
3 在宅医療専門の診療所は,訪問診療に特化しているため,外来応需体制を有していなくてもよい。
4 有料老人ホームは,公的医療保険における在宅医療の適用外となっている。
5 介護老人保健施設の理学療法士は,医師の指示がなくてもリハビリテーションの実施が認められている。
医療提供体制と出題されているので,医療施設以外のものも含まれています。
初めて出題されたものが正解選択肢になった問題なので,問題のつくり方が少し違えば,難易度が何倍にも上がったことと思います。
しかし,間違い選択肢は消去しやすい表現が含まれているので,それほどではなくなっています。
それでは,解説です。
1 保険薬局は,居宅における医学的管理,指導を行う。
これは間違いです。保険薬局は,医師の処方箋に基づき,調剤,服薬指導を行います。医学的管理は,身体的管理を行うことですが,保険薬局の機能ではありません。
2 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は,口腔機能の管理を行う。
これが正解です。
<かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所>
平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,口腔機能の管理を実施します。長い名称なので,「か強診」と略されています。
3 在宅医療専門の診療所は,訪問診療に特化しているため,外来応需体制を有していなくてもよい。
これは間違いです。
<在宅医療専門診療所>
これも平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,訪問診療を専門に行います。
外来診療ができる体制を有していることが原則ですが,ない場合はその地域の医療機関と連携し,外来診療できる体制が必要です。
4 有料老人ホームは,公的医療保険における在宅医療の適用外となっている。
これも間違いです。
在宅医療は,医師が在宅に訪問して診療を行うものです。有料老人ホームは,医療提供施設ではないので,在宅診療の対象となります。
5 介護老人保健施設の理学療法士は,医師の指示がなくてもリハビリテーションの実施が認められている。
これも間違いです。
理学療法は,診療の補助と実施されるものです。医師の指示か必要です。
<今日の一言>
いわゆる団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて,地域包括ケアシステムの構築が急がれています。
誰もが安心して地域で暮らすことができることが地域包括ケアシステムの基本です。その中心をなすものが,地域での医療の提供です。
多死社会なると現在のように,亡くなるときは医療施設で・・・といった死に方を選択できない人が多くなります。
その中で,在宅診療を専門に実施する診療所が生まれています。