11月に入って,この学習部屋に訪れる方が急に増加しています。
本格的な学習シーズンに入ったことを示しているのだと思います。
今回は,今日の問題はお休みして,これからの勉強法を考えたいと思います。
どのような勉強をしたら社会福祉士の国家試験に合格できますか?
誰もが知りたいことだと思います。
しかし,答えはありません。
どのような勉強をしても,合格基準点に到達しなければ合格できないからです。
どうしたら社会福祉士の国家試験に合格できますか?
という質問になら明確にお答えすることができます。
0点科目がなくて,合格基準点に到達していれば合格します。
多くの方は合格基準点に到達できる実力がついたのかどうかわからなくて,不安で不安でたまらない日々を過ごすことになります。
社会福祉士の国家試験は,19科目もある出題範囲の広い試験です。
しかし限りなく広いかと言えばそうでもありません。
なぜなら,出題範囲はもともと設定されているからです。
それが社会福祉振興・試験センターが示している「出題基準」です。
毎年6月頃に発表されています。
すべての参考書,模擬問題集,模擬試験はこの基準に沿って作成されています。
国試に合格するには,これらを活用して勉強することになります。
どのような勉強をしたら社会福祉士の国家試験に合格できますか?
という疑問には明確な答えはありませんが,その逆にどのような勉強をしていたら合格できないかはよく分かります。
それは今までずっと主張してきたこと
過去3年間の過去問の知識だけでは合格できない
出題基準と照合していくとすぐ分かりますが,過去3年間に出題されたものは,出題基準のほんの一部にしか過ぎません。
スカスカです。
そんなスカスカの知識だけで国試に合格しようと思うのは無謀です。
今まで国試勉強をまったくしていなくて,これからの勉強で合格しようと思うと,それなりの努力が求められます。
1日10時間も勉強した,という人もいるでしょう。
勉強のスタートが遅くなった分,それを挽回するには簡単なことではありません。
大変かもしれませんが,出題基準の範囲をひたすら覚えていくことが極めて大切です。
3年間の過去問の知識だけで国試に臨むのは無謀です。
ネットで見てみると,過去問を3回繰り返したら合格できた,という情報が散見されています。
しかしそれはほんの一部の人の話です。
辛いかもしれませんが,まずは参考書をひたすら覚えることです。
学校によっては,参考書のほかに過去3年以上の問題を最新のデータに変えて提供してくれていることもあります。
そういった人は,それを徹底して取り組みましょう。
過去3年間の過去問ではスカスカの知識にかなりませんが,現在のカリキュラムで出題された国試問題は出題基準をほぼ網羅しています。
知識がついたことを実感しながら,問題を解く練習ができます。
参考書にひたすら取り組んできた人は,いよいよ過去問などに取り組む時期となります。
仕上げの時期です。
国家試験は決して難しい問題ではありません。
それは,記念受験が減った第30回国試で極端に合格基準点が上がったことからも分かりまます。
合格基準点が90点程度,合格率が25~30%になっているのは,勉強不足で国試に臨んでいる人が一定程度いるからです。
第30回国試の合格基準点が99点にもなったのは,そのような人が減ったことも影響しています。
現在の国試は,
正しい勉強をして,適切な知識を持った人は合格できるように作られています。
勉強不足の人が合格するのはかなり困難です。
なぜなら,勘の良さで解ける問題はほとんどなくなっているからです。
しかし地道な努力は必ず報われます。
地道な努力は必ず報われます。
覚えるコツは,これからもご紹介していきますね。
最新の記事
成年後見人の職務
成年後見人の職務は,身上監護と財産管理です。 法務省の資料によると,それぞれ以下のように説明しています。 身上監護とは,ご本人の生活や健康の維持,療養等に関する仕事です。例えば,ご本人の住まいの確保,生活環境の整備,施設に入所する契約,...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
システム理論は,「人と環境」を一体のものとしてとらえます。 それをさらにすすめたと言えるのが,「生活モデル」です。 エコロジカルアプローチを提唱したジャーメインとギッターマンが,エコロジカル(生態学)の視点をソーシャルワークに導入したものです。 生活モデルでは,クライエントの...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
様々なアプローチが第31回国試までに出題された回数を整理すると以下のようになります。 アプローチ名 出題回数 ・心理社会的アプローチ 9 ・機能的アプローチ 4 ・問題解決アプローチ ...
-
ソーシャルワークは, ケースワーク グループワーク コミュニティワーク(コミュニティオーガニゼーション) とそれぞれの専門領域で発展していきました。 ソーシャルワークの統合化とは,それらのソーシャルワークとしての共通基盤を明確にすることを意味しています。 そのきっかけとなったのが...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
リッチモンドは,「人と環境」について ソーシャル・ケース・ワークは,「人と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる過程」である。 と述べています。 リッチモンドがこう述べたのは,1922年のことです。 しかしその後,「個」...
-
今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。 第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。 エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。 それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は...