2018年11月24日土曜日

医療ソーシャルワーカーの業務の徹底理解~その3

社会福祉士の国試に合格するのは,簡単なものではありません。

とは言うものの決して難しい試験ではありません。

合格できるポイントはただ一つ。

出題基準の範囲をひたすら覚えることです。


覚える方法はたくさんあります。しかし覚える内容は出題基準で示された内容をカバーしなければなりません。。

残念ながら「ここだけ覚えて大丈夫!!」といった秘策はないと言えます。

そんなことで合格できる試験なら,合格率のマックスが30%以上になると思いませんか。
出題基準の範囲をひたすら覚えることです。

内容を絞り込んだ参考書などは,ある程度勉強した人が最後のまとめとして使うのは良いと思いますが,勉強していない人がそれを使って合格するのは難しいのではないかと思います。

ここを間違えないようにしましょう。

それでは今日の問題です。

第29回・問題75 Kさん(20歳,男子大学生)は,2週間前にスノーボードの事故で脊椎損傷になり,特定機能病院に搬送され,入院となった。現在,両下肢不全麻痺があり,リハビリテーションが必要だが拒否しており,怒りや落ち込みなど精神的に不安定な状態にある。
Kさんの担当になった医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が医療ソーシャルワーカー業務指針に沿って援助計画を立案するに当たって行うこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 急性期治療から回復期リハビリテーション,さらに復学支援まで自分が担当すると説明する。

2 精神的に不安定なKさんの支援のために,精神科医に診療を依頼する。

3 Kさんの家族に対して,治療方針と予後に関して説明する。

4 将来の在宅療養を予想し,Kさんの居住する地域の「障害者総合支援法」に基づく協議会に参加して,患者に関する情報を提供する。

5 Kさんに対して面接を行い,その中でリハビリテーションを受け入れない理由などの情報を収集する。

(注)1 医療ソーシャルワーカー業務指針は,平成14年11月29日に改定されたものである。(厚生労働省健康局長通知)
2 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

「医療ソーシャルワーカーの業務指針に沿って」という限定された問題になっているのは,正解にあいまいさの要素を含まないためという理由もあるのではないでしょうか。

それでは解説です。


1 急性期治療から回復期リハビリテーション,さらに復学支援まで自分が担当すると説明する。

これは間違いです。

医療ソーシャルワーカーでなければ,復学支援も行うかもしれません。しかし業務指針に沿ったという限定の中では適切とは言えないとでしょう。


2 精神的に不安定なKさんの支援のために,精神科医に診療を依頼する。

これも間違いです。

「受診・受療支援」は医療ソーシャルワーカーの業務として極めて重要なものです。しかし診療を受けるかどうかは患者の自己決定によります。


3 Kさんの家族に対して,治療方針と予後に関して説明する。

これも間違いです。

医療そのものの内容について説明するのは医療ソーシャルワーカーの役割ではありません。「業務指針に沿って」という限定された設問でなくても,この手の問題はすべて間違いです。しっかり覚えておきましょう。


4 将来の在宅療養を予想し,Kさんの居住する地域の「障害者総合支援法」に基づく協議会に参加して,患者に関する情報を提供する。

これも間違いです。

必要であれば地域連携は行うことになることもあるかもしれませんが,Kさんの了解もなく協議会への情報提供は極めて不適切です。


5 Kさんに対して面接を行い,その中でリハビリテーションを受け入れない理由などの情報を収集する。

これが正解です。

「受診・受療援助」そのものです。


<今日の一言>

事例問題は,現場で働く人にとって,易しいように思えるかもしれません。

しかし落とし穴がありますので,注意が必要です。

具体的には,今日の問題のように条件を限定したものの事例では,条件を限定されていなければすべての選択肢が適切な対応であることもあります。

慎重に解きましょう!!

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