今までの国家試験に出題されたのは,以下の5つです。
1.特定機能病院
2.地域医療支援病院
3.在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所
4.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所
5.在宅医療専門の診療所
これらについて説明します。( )内は過去の出題回数です。
1.特定機能病院(5回)
400床以上の病床を有し,高度な医療を提供できる医療機関です。承認するのは厚生労働大臣です。承認されているほとんどの医療機関は大学病院です。高度の医療に関する研修実施能力も必要です。
2.地域医療支援病院(5回)
200床以上の病床を有し,救急医療の提供,地域の中核病院として地域の医療従事者に対する研修能力,連携などを行います。承認するのは都道府県知事です。
3.在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所(4回)
24時間の往診と訪問看護等の提供を行います。往診と訪問看護を担当する者は事前に患家に提示しておかなければなりません。訪問看護は必ずしも自ら提供しなければならないものではなく,訪問看護ステーション等との連携で実施する体制があることが承認要件です。そして忘れてはならないのは,緊急入院できる医療体制も要件の一つになっていることです。
4.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(1回)
平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,口腔機能の管理を実施します。長い名称なので,「か強診」と略されています。
5.在宅医療専門診療所(1回)
これも平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,訪問診療を専門に行います。外来診療ができる体制を有していることが原則ですが,ない場合はその地域の医療機関と連携し,外来診療できる体制が必要です。
さて,それでは今日の問題です。
第25回・問題73 我が国の医療提供施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 診療所の管理者には,医師,歯科医師以外の者でもなることができる。
2 介護老人保健施設は,医療法上の医療提供施設である。
3 病院や診療所は,自施設の平均在院日数を広告してはならないこととされている。
4 医師が病院を開設しようとするときは,都道府県知事の許可は必要としない。
5 特定機能病院に要求される機能には,高度の医療に関する研修実施能力は含まれていない。
魔の第25回の国家試験問題ですが,かなり素直な出題なので,難易度は低めなものとなっています。
それでは,解説です。
1 診療所の管理者には,医師,歯科医師以外の者でもなることができる。
これは間違いです。病院及び診療所の管理者は,医師,歯科医師です。
2 介護老人保健施設は,医療法上の医療提供施設である。
これが正解です。介護老人保健施設は,介護保険法上の介護保険施設であるとともに,医療法上の医療提供施設でもあります。
3 病院や診療所は,自施設の平均在院日数を広告してはならないこととされている。
これは間違いです。
医療法によって広告規制がありますが,平均在院日数は広告できます。
4 医師が病院を開設しようとするときは,都道府県知事の許可は必要としない。
これも間違いです。医師が病院を開設する場合は,都道府県知事の許可が必要です。
診療所を開設する場合,臨床研修修了している医師は許可を必要とせず,修了していない医師は都道府県知事の許可が必要です。
5 特定機能病院に要求される機能には,高度の医療に関する研修実施能力は含まれていない。
これも間違いです。高度の医療に関する研修実施能力は,特定機能病院の承認要件です。
<今日の一言>
特定機能病院と地域医療支援病院を混同しないように整理しておくことが大切です。
要注意なのは,救急医療の提供は,特定機能病院の機能のように思いがちですが,地域医療支援病院の機能であることです。