本気で合格を目指すなら今が最後!
11月に入ってアクセス数が増えて来ています。昨年を調べてみたところ,やっぱり11月からアクセスが増えていました。
11月は一つの分岐点なのかもしれません。
何の分岐点かと言えば,もちろん合格・不合格です。
大学生なら短期集中ができます。
そういった意味で,本気で合格を目指すなら今の時期が最後なのかなぁ,と思ったりします。
合格するには,決して近道はありませんが,短期間で走り抜けることはできます。
そこにはコツがいくつか存在します。
制度間に共通するものを見つけ出すこと。
無駄なものは覚えない。
絶対に忘れない覚え方をすること。
などなど。
現代の大学生には,高校入試も大学入試も経験したことがない,という人もいます。
試験勉強慣れしていない人には,かなり辛いと思いますが,コツを会得してしまえば,若い頭をフルに活用して突き進んでいくことができるでしょう。
社会人は短期集中する時間はありません。しかし,学生には負けない豊富な人生経験があります。
それこそ平成という時代をリアルタイムで見てきた人もいるでしょう。それらは,学生にはないメリットです。
今までの人生の中で見聞きしたり,実際に経験したりしたことなどをフル回転させて,関連づけながら覚えていきましょう。
更に言えば,国家試験はマーク式。答えは必ず問題文の中にあります。
少々間違って覚えようとも,記述式ではないので,選択肢の中から正解を選び出すことができます。
さて,今日は,障害者総合支援法で規定される医療サービスを取り上げます。昨年も一度紹介していますが,違う視点から考えたいと思います。
それでは早速今日の問題です。
第26回・問題74 「障害者総合支援法」の保健医療サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 自立支援医療には,療育医療,更生医療,育成医療の3種類の公費負担医療がある。
2 療養介護医療とは,在宅で医療と常時介護を必要とする人に,機能訓練,療養上の管理,看護・介護及び日常生活の世話を行うことのうち,医療にかかるものをいう。
3 自立支援医療費の給付を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,都道府県の窓口に申請をしなければならない。
4 自立支援医療の利用者は,当該医療費の3割を負担する。ただし,世帯の所得に応じて月額の負担上限額が設定される。
5 入院時の食事療養費と生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担となる。
知識がないとまず正解できない問題でしょう。
こういった問題が国試の理想です。
勉強した人は解けて,勉強が足りない人は解けない。
勉強が足りない人が解ける問題は良い問題とは言えないと考えています。
それでは解説です。
1 自立支援医療には,療育医療,更生医療,育成医療の3種類の公費負担医療がある。
これは間違いです。
自立支援医療は,児童福祉法に規定される「育成医療」,身体障害者福祉法に規定される「更生医療」,精神保健福祉法に規定される「精神通院医療」を障害者自立支援法が成立した時に同法で自立支援医療として規定したものです。
療育医療は児童福祉法に規定される結核児に対する医療です。似たようなものには,母子保健法に規定される未熟児に対する医療である「養育医療」があります。
医療に関して,市町村の役割はほとんどありませんが,障害者総合支援法の実施主体は基本的に市町村なので,育成医療と更生医療は市町村の役割となります。
精神通院医療は,歴史的にみた場合,1964年(昭和39年)に駐日大使のライシャワーが精神病患者に刺されるライシャワー事件がきっかけとなり,1965年(昭和40年)に精神衛生法が改正されて精神障害者の通院医療費公費負担制度が創設したところに始まります。
言葉は悪いですが,「精神病患者を野放しにするな」といった世論の風潮に応えて在宅の精神病患者にしっかり治療を受けさせることを目的に始まったものです。福祉というよりは治安維持の目的の方が強かったと言える制度です。
そのため,市町村には未だに権限移譲せず,都道府県が支給決定しているのです。
2 療養介護医療とは,在宅で医療と常時介護を必要とする人に,機能訓練,療養上の管理,看護・介護及び日常生活の世話を行うことのうち,医療にかかるものをいう。
これも間違いです。
療養介護は自立支援給付のサービスの一つですが,医療型入所施設で行うものです。在宅ではありません。
障害者総合支援法には,在宅ではないのに,在宅っぽい名称のサービスがあります。それは生活介護です。生活介護は障害者支援施設等で提供するものです。
障害者総合支援法に規定されるサービスのうち,介護がつくサービスは,居宅介護,重度訪問介護,生活介護,療養介護の4つがあります。
居宅介護と重度訪問介護 ➡ 在宅系サービス
生活介護と療養介護 ➡ 施設系サービス
整理して覚えましょう。
3 自立支援医療費の給付を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,都道府県の窓口に申請をしなければならない。
これも間違いです。
障害者総合支援法の実施主体は基本的に市町村です。申請窓口は市町村です。
医療に関するものは市町村の役割にはほとんどありませんが,自立支援医療は例外事項です。
精神通院医療は都道府県が支給決定しますが,申請窓口はあくまでも市町村です。市町村を経由して都道府県に送られます。
4 自立支援医療の利用者は,当該医療費の3割を負担する。ただし,世帯の所得に応じて月額の負担上限額が設定される。
これも間違いです。
自己負担は1割負担で,所得によって上限額が設定されています。
自立支援医療は医療保険ではありませんが,医療保険でも高齢者の場合,現役並み所得者が3割負担であると考えると3割負担はあり得ないと思えるはずです。
こういったところに気づくことができるのも,社会人のメリットです。
5 入院時の食事療養費と生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担となる。
これが正解です。
入院に伴い,食事や生活にかかる費用であるいわゆるホテルコストは,自己負担となっています。これは,社会保険制度である医療保険,介護保険ともに共通の制度です。
<今日の一言>
今日の問題で,他の領域に応用できるものがいくつかあります。
①医療に関する原則
原則は都道府県の役割。例外は,自立支援医療の育成医療と更生医療。
②ホテルコスト
原則は自己負担。社会保険制度である医療保険,介護保険も同様。
こういったことを一緒に覚えていくことで,知識量は何倍にもなり,しかも固定されていきます。
国試まで残された時間は限られていますが,合格するために必要な知識をつける時間は十分あります。
勉強にはコツがあります。
しかし間違った勉強方法をしても努力すれば結果が出るので,それが間違った勉強方法であることに気がつきにくいものです。
この場合の結果とは,過去問などを解いた時に,解ける率が上がることを指します。
間違った勉強を続けても国家試験に合格することはできます。ただしそれはおそらく直近に行われる試験ではないはずです。
つまり遠回りをすることになります。合格に向けたベクトルは,最短距離にしたいです。
間違った勉強方法の一つには,
A=B的な覚え方があります。
例えば,
ブース=ロンドンの貧困調査
といった覚え方です。
合格に必要な知識は,だれが行ったか,ではありません。
最低限必要な知識は
貧困調査の結果,ロンドン市民の30%が貧困線以下の生活を送っていること,貧困の原因は雇用や環境によるものであることが分かった。
といったものです。
ここから分かる間違った勉強法の一つは
手作りの暗記カードを作って勉強すること。
国試で出題されるポイントを間違った暗記カードでは,得点することはできないでしょう。しかも作成に時間がかかりすぎます。
勉強の過程で気づいたことは,参考書などに書き込むこと。
こういったことが効果のある勉強法です。
これからは,過去問などを解きながら,最後の仕上げを行う時期です。
人は不思議なもので,間違った問題は何度も間違います。
こういったものを少しでも減らしてしていくことが大切です。
国家試験で問われる内容は,複雑怪奇なものではありません。一つひとつを丁寧に見ていけば,そんなに難しいものではないことが分かるはずです。
何度も受験して不合格になっている人は,こう思うでしょう。
なんて私は頭が悪いのだろう
そして知識量を増やそうとして勉強します。
しかし何度も受験している人は,今までの勉強で知識は十分あるはずです。
必要なことは,勉強法の見直しです。
今なら,まだ軌道修正ができます。
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