2018年11月18日日曜日

保健医療サービスにおける専門職の役割の徹底理解~その1

今回から保健医療サービスに関連する専門職に取り組んでいきます。

現行カリキュラムで出題された専門職は以下のとおりです(社会福祉士及び医療ソーシャルワーカーを除く)。

( )内の数字は出現度数。

医師(4)
薬剤師(1)
看護師(3)
保健師(2)
助産師(1)
理学療法士(6)
作業療法士(3)
言語聴覚士(4)
介護福祉士(1)

理学療法士の出題が多いことが分かります。

理学療法と作業療法の違いはしっかり覚えておきたいです。

それでは今日の問題です。


第25回・問題75 理学療法士,作業療法士,言語聴覚士及び介護福祉士の資格と業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 理学療法士又は作業療法士の行う理学療法又は作業療法は,保健師助産師看護師法の規定にかかわらず,診療の補助としての位置づけがなされている。

2 理学療法とは,身体又は精神に障害のある者に対し,主として応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図ることを目的としている。

3 作業療法の対象となる者に,精神に障害のある者は含まれていない。

4 言語聴覚士の業務の範囲に,嚥下訓練は含まれていない。

5 介護福祉士であれば,痰の吸引,経管栄養等の医行為を,介護施設,在宅の訪問介護等において実施できる。

難易度は「中」といったところでしょうか。

内容的には,決して簡単ではないですが,日本語的に消去できるものがあるからです。

今はこういったものはほとんど見られません。しっかり覚えることが必要です。

それでは解説です。


1 理学療法士又は作業療法士の行う理学療法又は作業療法は,保健師助産師看護師法の規定にかかわらず,診療の補助としての位置づけがなされている。

これが正解です。

これだけが抜き出されているととても難しいと思います。さすがは「魔の25回国試」の出題です。

保健師助産師看護師法(保助看法)の規定とは,「看護師でないものは療養上の世話又は診療の補助を業として行ってはならない」というものです。

保助看法のこの規定があるために,あとから制定された理学療法士及び作業療法士法で,「保助看法の診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる。」と規定することになったのでしょう。


2 理学療法とは,身体又は精神に障害のある者に対し,主として応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図ることを目的としている。

これは間違いです。

理学療法は,身体に障害のある者を対象とします。

作業療法は,身体又は精神に障害のある者を対象とします。

理学療法なのに,「精神」と出てきたら消去できます。

見分けポイントは「精神」です。


3 作業療法の対象となる者に,精神に障害のある者は含まれていない。

これは間違いです。

先述のように,精神は作業療法の対象です。


4 言語聴覚士の業務の範囲に,嚥下訓練は含まれていない。

これも間違いです。

言語聴覚士も診療の補助業務を行うことができます。

言語聴覚士が行う診療の補助業務は

嚥下訓練,人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為

です。


5 介護福祉士であれば,痰の吸引,経管栄養等の医行為を,介護施設,在宅の訪問介護等において実施できる。

これも間違いです。

現カリキュラムの介護福祉士養成校で資格を取った人は,医行為を行うことができます。
しかしそれ以外の人は介護福祉士であっても研修を受ける必要があります。


<今日の一言>

解説の中でも書きましたが,理学療法と作業療法の違いは,精神障害を対象にするかしないかです。

それだけ覚えれば,あとの部分は覚える必要はありません。

作業療法=精神

国試で必要な知識はこの部分だけだからです。

覚えるポイントはシンプルに

これを心がけると国試での得点力は数段上がります。

ただし,覚えるポイントを間違うと大変なことになりますので注意が必要です。

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