2019年1月7日月曜日

標本調査の徹底理解(2/4)

量的調査の基本は,無作為抽出(確率抽出)です。

有意抽出(非確率抽出)は,母集団の性質と同じにはならないからです。

それでは今日の問題です。

第25回・問題85 標本調査の長所と短所に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 関心の対象である全員にではなく,その一部分の人々にのみ調査を行う限り,どれだけ適切に設計・実施された標本調査でも必ず標本誤差が生じる可能性がある。

2 訪問個別面接調査を行う場合でも,本来は標本調査より全数調査を行う方が誤差が生じないので望ましい。

3 標本抽出法には確率抽出法と非確率抽出法があり,実施が可能でさえあれば,偶然に左右されない非確率抽出法を行うのが望ましい。

4 無作為抽出が適切に行われていれば,調査対象者が多くても少なくても調査から得られる知見に違いはない。

5 標本調査によって母集団の性質についての統計的な推測ができるのは,母集団に含まれるすべての人が同じ確率で選ばれ得るような標本抽出の手続きをとる場合である。


前回と同じように。硬い言葉が並んでいるので問題文が読みにくいです。

この手の問題は,内容をしっかり覚えていることは必要条件ですが,問題文をしっかり読むことが大切です。

午前中のことは,すっきり忘れて,昼食時間にリフレッシュするようにします。

周りで答え合わせをしている人もいると思いますが,耳に入らないように気を付けましょう。

因みに,国試会場で,特に階段教室になっている場合は,自分の前や斜め前の人の問題用紙に記入した答えが見えることがあります。

自分と同じなら安心できますが,違っていても気にすることはありません。

その人がとても優秀だと分かっている場合はとても焦るかもしれませんが,そういう人でも135点以上取るのはほとんど不可能です。

優秀な人でも3割は間違います。

それでは解説です。


1 関心の対象である全員にではなく,その一部分の人々にのみ調査を行う限り,どれだけ適切に設計・実施された標本調査でも必ず標本誤差が生じる可能性がある。

これは正解です。

標本調査は全数調査ではないので,標本誤差は生じます。

第30回国試に,標本誤差が出題されていたので,2年連続で出題されることは少ないかもしれません。

しかししっかり押さえておきたいです。


2 訪問個別面接調査を行う場合でも,本来は標本調査より全数調査を行う方が誤差が生じないので望ましい。

これは間違いです。

全数調査は,標本誤差はありませんが,ご記入などの測定誤差は生じます。


3 標本抽出法には確率抽出法と非確率抽出法があり,実施が可能でさえあれば,偶然に左右されない非確率抽出法を行うのが望ましい。

これも間違いです。

非確率抽出法は,有意抽出です。無作為抽出は,確率抽出法です。


4 無作為抽出が適切に行われていれば,調査対象者が多くても少なくても調査から得られる知見に違いはない。

これも間違いです。

標本数は,少ないよりも多い方が標本誤差が小さくなります。


5 標本調査によって母集団の性質についての統計的な推測ができるのは,母集団に含まれるすべての人が同じ確率で選ばれ得るような標本抽出の手続きをとる場合である。

これは正解です。

標本調査によって母集団の性質についての統計的な推測ができるのは,母集団に含まれるすべての人が同じ確率で選ばれ得るような標本抽出の手続きをとる場合です。


<今日の一言>

国試問題は,分解してみると決して難しくありません。

しかし,問題を解く時は,何を書いてあるのか分からなくて,とてもドキドキするはずです。

それが国試です。国試の怖さです。

それは他のみんなも同じです。

自分以外は,みんな賢そうに見えると思いますが,受験者の能力はほとんど変わりません。

自分が難しいと思う問題は,周りの人も難しく思っています。

落ち着いて問題を読めば,ほとんどの問題には,答えが隠されています。

セット入れ替え手法対策を万全にすれば,対応可能です。

セット入れ替え作問法対策
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「難しい」と思うと,思考は停止してしまいます。

正解になる選択肢には,必ず何かしらのメッセージがあります。
分からなくても分からないなりに思考することが大切です。

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