社会福祉士の国試の合格基準は,6割程度です。
問題の難易度によって,合格基準点が上下するのがやっかいなところでしょう。
前にも紹介したように,チームfukufuku21は,合格基準の6割程度というのは,正解率が6割程度であるという意味なのではないかと推測しています。
それぞれの問題に予測正解率を設定して,その平均が6割程度に収まるように出題しているように思います。
全員が正解できるような問題があれば,その問題と同じ数だけ誰も正解できない問題を出題すれば良いわけです。
参考書は,国家試験に出題されたものを加えて作成するので,誰もが正解できないものとして出題したものも掲載されることになります。
参考書では覚える優先度がわからないのですべてを覚えなければならないと考えるととても辛くなるでしょう。
しかし,絶対にそんなことはありません。
国試合格に重要なことは,うっかりミスをしないこと,考えればわかる問題はしっかり思考して正解に近づくことです。
今日の問題は,出題当時,多くの人が正解できなかった問題です。
それでは,早速紹介します。
第24回・問題79 事例を読んで,調査票の作成に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
スクールソーシャルワーカーであるBさんは,Y市内の小中学枚教師約500人へのアンケート調査を企画した。調査の内容は,主にソーシャルワーカー業務の認知の程度と,どのような場合に必要とされるのかを尋ねるものであった。
1 ソーシャルワーカー業務の認知の程度を把握するために,業務内容を記述した15項目それぞれに対して,リッカート形式の尺度を作成して尋ねた。
2 調査票が長くなると回答率が低下するので,できるだけソーシャルワークの業務に関する略語や専門用語を使って調査票を作成した。
3 教師の属性も把握したいので,性別,年齢,学歴,職歴,家族構成などを調査票の最初に設けて尋ねた。
4 ソーシャルワーカーがどのような場面で必要とされているかを把握するために,あらかじめ設定した10の場面に対して,SD(Semantic Diferential)法を用いて尋ねた。
5 できるだけ具体的な情報が必要なので,自由回答欄を多数設けて調査票を作成した。
この問題を今見ると,そんなに難しくは感じないかもしれません。
なぜなら,リッカート法,SD法も参考書に載っているからです。
国試では,テキスト(中央法規の養成講座など)に記述がないものも正解選択肢として出題することがたまにあります。
そうすると極端に正解率が下がります。
今日の問題のリッカート法,SD法のように2つあると,消去法では正解にたどり着くことができないので,多くの人が正解できなくなります。
こういった問題では,受験生の理解で差が生まれません。
しかしこれも試験委員の作戦です。
実際には,難しい問題があれば,その数と同じ数の誰もが解ける難易度である問題が存在しているはずです。
難しい問題をいくつか混ぜておけば,心が弱い人は,誰もが正解できる問題でも自滅してくれます。
難しい問題が多くて,誰もが正解できる問題の少ないというバランスになれば,合格基準点は下がります。
自分が解けない問題は誰もが解けないのだ
という強い気持ちを持つことが極めて重要なのです。
それでは解説です。
1 ソーシャルワーカー業務の認知の程度を把握するために,業務内容を記述した15項目それぞれに対して,リッカート形式の尺度を作成して尋ねた。
これが正解です。
リッカート法とは,研修後アンケートのように
1.満足 2.やや満足 3.ふつう 4.やや不満 5.不満
といった順序尺度で質問するものです。
この場合は,
1.良く知っている 2.言葉は聞いたことがある 3.聞いたことがない
といった質問を15項目に対して行ったということです。
2 調査票が長くなると回答率が低下するので,できるだけソーシャルワークの業務に関する略語や専門用語を使って調査票を作成した。
これも間違いです。
調査票が長くなると回答率が低下するのは正しいです。
しかし,他分野の人に対して略語や専門用語を使うのは不適切です。質問内容を正しく理解することができないからです。
3 教師の属性も把握したいので,性別,年齢,学歴,職歴,家族構成などを調査票の最初に設けて尋ねた。
これも間違いです。
ちょっと難しいですが,属性を尋ねるのであれば,質問の最後にする方がよいです。
冒頭の導入部分は,簡単な質問の持ってくる方が,調査に対して親しみを持ってくれるので,そのあとの質問に答えてくれる可能性が高まります。
冒頭で属性を尋ねる調査票なら,頭の中が「?」「?」「?」になったまま,質問に入っていくことになるでしょう。
4 ソーシャルワーカーがどのような場面で必要とされているかを把握するために,あらかじめ設定した10の場面に対して,SD(Semantic Diferential)法を用いて尋ねた。
これも間違いです。
SD法は,
華やか⇔地味
明るい⇔暗い
といった対となるイメージの言葉を使って,調査を行うものです。
場面に対しては用いるものではありません。
5 できるだけ具体的な情報が必要なので,自由回答欄を多数設けて調査票を作成した。
これも間違いです。
自由回答欄は必要ですが,多数設けると記入するのが面倒になりますので,回収率が低下します。
<今日の一言>
現在の国試問題は,難しい問題もあります。
しかし,今日のような問題はほとんどありません。
なぜなら,受験生に差がつかないからです。
試験に適切な問題は。
勉強した人は解ける
勉強不足の人は解けない
というタイプです。
今日の問題のように,リッカート形式とSD法という訳のわからないもの(見当がつかないもの)を2つの選択肢に配置してしまうと,消去法で答えにたどり着くことができません。
今日の問題のように,多くの人が正解できない問題が多くなってしまうと合格基準点が下がります。
この年の合格基準点は,なんと81点です。「魔の第25回国試」の72点から比べると高い合格基準点ですが,充実期(第26~30回国試)にはこれだけ低い合格基準点になったことはありません。
誰もが解けない問題が多ければ,合格基準点は下がります。
誰もが解ける問題が多ければ,合格基準点は上がります。
それだけのことです。
勉強すべき内容は,合格基準点がどのようになろうと決して変わるものではありません。
チームfukufuku21では,第31回以降は転換期と捉えていますが,第30回と大きく変わることはないだろうと考えています。
後から振り返るとあの時が転換期の始まりだったと思うだけです。
参考:現行カリキュラムの変遷
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/12/22.html
ここからが結論です。
難しい問題は必ず出題されます。しかしそれは多くの人は解けません。その問題ができてもできなくても合否にはほとんど影響しません。
それよりも大切なのは……
難しい問題でペースを乱さないことです。ペースが乱れると本来正解すべき問題で正解できなくなってしまいます。
今までしてきた努力は尊いものです。
正しい努力を続けてきた人は必ず報われます。今の国試は,そうなるように組み立てられています。
最後に実力を発揮するのは,自分に自信を持てる人であることは間違いありません。
国試当日は晴れやかな気持ちで臨みましょう!!
自分が解けない問題は誰もが解けないのだ
という強い気持ちを持つことが極めて重要なのです。