2019年1月13日日曜日

調査票の配布と回収(4/5)~国試には想像力が必要です!

今回も調査票の配布と回収です。

国家試験は,時間との戦いです。

時間内に解けなければなりません。「ゆっくり考えれば解ける」ではだめなのです。

国家試験の文字数が減ってきているのは,今まで何度も伝えてきたとおりですが,その逆に,柔軟な思考や想像力が求められる問題が出題されるようになっています。

そのような問題に対応するのは結構大変です。

タイマーで1問を解く時間を計って解く練習をするという人がいます。

チームfukufuku21は,そのような練習はあまりおすすめできないと考えています。

なぜなら,今書いたように柔軟な思考や想像力が求められる問題があるので,ちょっと立ち止まらなければならないこともあるからです。

そういった問題は,時間をかけて解くことも必要です。
午前2時間15分で83問,午後1時間45分で67問が収まればよいです。

その時間をいくつかのブロックに分けて,目安をつけておくと良いと思います。

すべての問題を90秒で解こうと思うと焦りが生じて,せっかく解ける問題もミスしてしまうことになりますので,注意が必要です。

さて,今日の問題も想像力が求められる問題です。


第29回・問題87 社会調査における調査票を用いた方法に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 郵送調査は,回答者が十分に時間をかけて回答することができるため,質問項目数の上限がないというメリットがある。

2 集合調査は,特定の団体が集まる会合の場で実施できるため,代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。

3 電話調査は,近年,固定電話に加え,携帯電話を持つ人が増えてきたため,回収率が高いというメリットがある。

4 留置調査は,調査票を配布したその場で回答がなされないため,他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。

5 インターネット調査は,インターネット上で調査対象者を公募する場合,代表性の偏りが生じるというデメリットがある。



前回と前々回で紹介した問題で出題された項目とほとんど一緒ですが,メリット,デメリットは切り口が変わるので,決して簡単な問題ではないです。

柔軟な思考と想像力が求められる問題とはこういった内容のものです。

今日の問題は,自分が調査対象者だとしたらどうなのだろうと想像することが必要です。

それでは,解説です。



1 郵送調査は,回答者が十分に時間をかけて回答することができるため,質問項目数の上限がないというメリットがある。

これは間違いです。

自分が調査対象者だとしたら,質問項目が多いと答えるのが面倒だと思いませんか?

郵送調査は,事業所などに送られてくることが多いと思います。

回答する義務や義理がなければ,無視することも多いと思います。そのため,郵送調査は手軽にできる調査である反面,回収率が低くなります。

質問項目が多いと面倒なので,さらに回収率が下がってしまいます。

そのため,質問項目数に上限は存在しませんが,適切な項目数は存在するのです。

質問が1,000項目もあったら大変です。



2 集合調査は,特定の団体が集まる会合の場で実施できるため,代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。

これも間違いです。

集合調査は,調査対象者に集まってきてもらって,その場で調査する方法です。

代表性のある標本を確保するためには,無作為抽出でなければなりません。

特定の団体が集まる会合の出席メンバーを無作為抽出したところで,もともと会合に集まっている人は,ある目的や興味・関心が共通しているので,代表性のある標本にはなり得ません。

極端な例を言えば,ある政党の会合に集まっている場で,世論調査を行った場合,一般的な意見とは違うものとなってしまいます。



3 電話調査は,近年,固定電話に加え,携帯電話を持つ人が増えてきたため,回収率が高いというメリットがある。

これも間違いです。

携帯電話では,知らない番号からかかってきたら電話には出ないという人は結構います。

そのため,携帯電話が普及したとしても,回収率が高くなるは限りません。



4 留置調査は,調査票を配布したその場で回答がなされないため,他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。

これも間違いです。

郵送調査は,突然送られてくることが多いので,調査に協力しようと思う人はそれほど多くはありません。

それに対して,留置調査は,調査員が訪問してお願いするので,協力してくれる可能性は高いです。

回収率が低いのは,郵送調査

これだけはしっかり押さえておきたいです。



5 インターネット調査は,インターネット上で調査対象者を公募する場合,代表性の偏りが生じるというデメリットがある。

これが正解です。

経費も労力も最もかからないのは,インターネット調査です。インターネットにつながるPC等があれば,実施することができます。

しかし,インターネット調査は,調査に協力してくれる人がその内容に興味がある人が回答します。

興味がない人はそこにアクセスすることもわざわざ時間をかけて回答することもないでしょう。

現在のところ,インターネット調査で無作為抽出する方法は開発されていません。


<今日の一言>

今日の問題は,決して難易度が高い問題ではありません。

そのため,解説を読めば「ああ,なるほど」とわかるでしょう。

しかし,国試会場で正しく正解を選ぶのは,簡単ではありません。

先述のように,柔軟な思考と想像力が必要だからです。

国試対策としてたくさんの問題を解く必要があるのは,柔軟な思考と想像力を高める訓練でもあるのです。

社会科学系の学問である社会福祉学は,看護学や医学などの自然科学系とは違った難しさが存在しています。

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