受験に失敗すると試験が怖くなります。
それが数回続くともっともっと怖くなります。
怖くて怖くて受験するのをやめてしまおうと思うこともあるでしょう。
しかし,受験をあきらめなかったあなたは,試験の「まにあ」
怖さから
「ま」けなかった。
「に」げなかった。
「あ」きらめなかった。
受験をやめてしまった人は,合格をつかむことはできません。
あなたが「まにあ」である限り,合格することができます。
受験をやめてしまった人は,絶対に合格をつかむことはできません。
しかし試験の「まにあ」は,必ず合格できます。
「まにあ」である限り,合格はつかめます。
大切なことは,「まにあ」であることです。
再受験で合格を目指す方は「まにあ」です。
今まで解けた問題は,国試でも解けます。
たくさんたくさん問題を解いた人は,国試でも解けます。
今まで解けた問題が解けないことがあっても,ほかの問題がカバーしてくれます。
前日の緊張から寝不足で試験に臨んでも,当日の体調が少々悪くても,これまで頑張ってきた努力は,「まにあ」のあなたを支えてくれることでしょう。
努力は必ず結果になって現れます。
国試に対する恐怖を克服した先には,「国家資格」が待っています。
努力は必ず報われる
それが今の国試です。
それでは今日の問題です。
第29回・問題88 量的調査におけるデータの集計方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 クロス集計表において,セルの度数の比が全ての行で等しい場合,そのクロス集計表の2変数間には関連がない。
2 クロス集計表において,2変数間の関連をみる場合,行パーセント,列パーセントのどちらを示しても,得られる情報に変わりはない。
3 クロス集計表では,2変数間の関連をみることができるが,3変数以上の関連についてみることはできない。
4 度数分布表における相対度数とは,度数を合計した値を各カテゴリーの値で割って算出したものである。
5 連続変数では,値が連続的に変化するため,度数分布表を作成することができない。
今日の問題は第29回国試で出題されたものなので,第31回国試を受験される方の多くは何度も何度も解いた問題だと思います。
そのため,今見見てもそんなに難しさはないと思います。
しかしこの問題が実際に出題されたときは,とても難しくて,ほとんどの受験生は解けなかったと思われる問題です。
こういった問題が誰もが解けないものの典型です。
クロス集計は,第22回,第24回,第27回,第29回とほぼ2回に1回出題されています。
頻出だから解けるものではないということを物語っています。
コツコツ勉強した人は,「あれだけ勉強したのに解けない」という敗北感を感じる瞬間です。
しかしこんな解けなくても,コツコツ勉強した人は,他の問題は解けます。
難しい問題があれば,その数と同じくらい易しい問題があります。
易しいというのは,勉強した人にとって易しいのであり,勉強不足の人にとっては決して易しくはないです。
それでは解説です。
1 クロス集計表において,セルの度数の比が全ての行で等しい場合,そのクロス集計表の2変数間には関連がない。
これが正解です。
この問題が難しくなった理由は
言い切り表現に正解少なし
を覆す選択肢が正解になったからです。
「関連がない」は言い切り表現です。
日本語的には解けない問題の典型です。
クロス集計表の例をネットで一度見ておくとよいのかもしれません。
社会福祉士の国試は,五者択一(あるいは択二)です。
択一であった場合の各選択肢の期待値は,20%です。
実際(測定値)は,各選択肢の割合が違っています。
これがもし期待値と測定値がぴったり重なった場合は,どんな問題が出題されても,選択肢1~5を選ぶ率は同じである,ということになります。
つまり,問題の内容と各選択肢の選択率には関連がないということになります。
勉強してきた人は,あきらめないで消去できる選択肢を消去すると,正解できる率が高くなります。
一つでも多く消去できれば,どんどん正解できる率が近くなります。
難しい問題であればあるほど,各選択肢の選択率は同じような率に近づいていきます。
2 クロス集計表において,2変数間の関連をみる場合,行パーセント,列パーセントのどちらを示しても,得られる情報に変わりはない。
これも間違いです。
行パーセントは,横の行のセルそれぞれの割合です。
列パーセントは,縦の列のセルそれぞれの割合です。
別のデータを見ていますので,当然得られる情報は変わります。
3 クロス集計表では,2変数間の関連をみることができるが,3変数以上の関連についてみることはできない。
これも間違いです。
この問題が難しくなった理由のもう一つの理由は,この選択肢です。
3変数以上の関連もみることができるそうです。
一般的なクロス集計表は,XとYの関連をみていますが,3つめの変数であるZを加えてもその関連を見ることができます。
勉強時間(X),使った参考書(Y)だけではなく,模擬試験の振り返り(Z)といったものを加えて関連をみます。
「何時間以上勉強したら合格できる?」といった質問をネットで見かけることがありますが,単純な因果関係は見出すのは難しいと思います。
そのため学習部屋では,質問は受け付けないのです。
勉強は極めて個別性が高いためです。
合格に必要なのは,何を使って,何時間勉強するか,ということではなく,どのように理解するか,といったところが重要です。
4 度数分布表における相対度数とは,度数を合計した値を各カテゴリーの値で割って算出したものである。
これも間違いです。
相対度数は,各セルの値を行あるいは列の合計で割ったものです。
よく考えてみれば間違いだとわかるかもしれませんが,国試会場で落ち着いて問題を読むのはとても難しいのが現実です。
5 連続変数では,値が連続的に変化するため,度数分布表を作成することができない。
これは間違いです。
何度も出題されていますが,連続変数(間隔尺度と比例尺度)は,0~10点。11~20点といったようにデータを区切ることでクロス集計表を作成することができます。
<今日の一言>
現在の国試は,勉強してきた人は得点できるものになっています。
第25回国試と比べてみれば一目瞭然です。
現在何が起きているかと言えば,受験生の得点分布が広がっていることです。※得点分布は公表されていません。
第25回までは,受験生の得点分布は,合格基準点プラスマイナス10点あたりのところにほとんどが集まっていました。
現在は,プラスマイナス20点くらいまで広がっています。
ここが勉強した人は得点できる,勉強が足りない人は得点できないという根拠です。
試験当日も「まにあ」になりましょう。
難しい問題が出題されても
「ま」けない
「に」げない
「あ」きらめない
そうすれば,合格基準点に到達できます。
それが今の国試です。
最新の記事
ノーマライゼーションの国家試験問題
今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
バートレットは,ソーシャルワークの共通基盤として 「価値」「知識」「介入(技術)」 を挙げています。 ソーシャルワーカーなら,フィールドが違えど,共通してもっているもの,という意味です。 3 つの中のうち「 価値 」は,「相談援助の基盤と専門職」で中心的...
-
今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。 第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。 エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。 それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ノーマライゼーションとは,「ノーマル(普通)」の派生語で「ノーマル化する」という意味です。 「ノーマル化する」のは,障害者の生活です。 世界で最初にノーマライゼーションを提唱したのは,デンマークのバンク-ミケルセンです。 1950年代のデンマークでは,保護の名のもとに...
-
繰り返しになりますが,ソーシャルワークは欧米生まれです。 なじみのない外国語がたくさん使われますが,苦手だと思うととても損です。 さて,今日のテーマは「ジェネラリスト・アプローチとは何だろう?」です。 まずは前回の復習からです。 ソーシャルワークは,ケースワーク,...
-
様々なアプローチが第31回国試までに出題された回数を整理すると以下のようになります。 アプローチ名 出題回数 ・心理社会的アプローチ 9 ・機能的アプローチ 4 ・問題解決アプローチ ...
-
ソーシャルワーカーは,場面によってさまざまな役割を演じます。 今日は前説なしに,ソーシャルワーカーの役割についての問題です。 第 31 回・問題 107 ソーシャルワークの援助過程におけるソーシャルワーカーの役割に関する次の記述のうち,最も適切なもの...
-
国試での出題実績のあるアプローチは以下の12種類です。 出題基準に示されているもの ・心理社会的アプローチ ・機能的アプローチ ・問題解決アプローチ ・課題中心アプローチ ・危...