今回も虐待防止法です。
虐待防止法は3法あります。
<虐待の種類>
●児童虐待防止法
身体的虐待,心理的虐待,ネグレクト,性的虐待
●高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法
身体的虐待,心理的虐待,ネグレクト,性的虐待,経済的虐待
※児童虐待防止法には,経済的虐待は含まれない。
<虐待の定義>
●児童虐待防止法
保護者(親権を行う者,未成年後見人その他の者で,児童を現に監護するもの)による虐待
●高齢者虐待防止法
養護者及び養介護施設従事者等による虐待
●障害者虐待防止法
「養護者」,「障害者福祉施設従事者等」,「使用者」による障害者虐待
それでは今日の問題です。
第23回・問題76 「児童虐待防止法」及び「高齢者虐待防止法」における虐待の定義規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 いわゆる心理的虐待について,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
2 いわゆる経済的虐待について,「児童虐待防止法」では規定していないが,「高齢者虐待防止法」では規定している。
3 いわゆる性的虐待について,「児童虐待防止法」では規定していないが,「高齢者虐待防止法」では規定している。
4 いわゆるネグレクトについて,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
5 いわゆる施設内虐待について,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
前回の問題とは,つくり方が違います。前回の問題の難易度が高いということが分かることでしょう。
それでは解説です。
1 いわゆる心理的虐待について,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
これは間違いです。
どちらも心理的虐待は規定されています。
2 いわゆる経済的虐待について,「児童虐待防止法」では規定していないが,「高齢者虐待防止法」では規定している。
これが正解です。
経済的虐待は,児童虐待防止法には規定されていません。
3 いわゆる性的虐待について,「児童虐待防止法」では規定していないが,「高齢者虐待防止法」では規定している。
これも間違いです。
性的虐待はどちらも規定しています。
4 いわゆるネグレクトについて,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
これも間違いです。
ネグレクトはどちらも規定しています。
5 いわゆる施設内虐待について,「児童虐待防止法」では規定しているが,「高齢者虐待防止法」では規定していない。
これも間違いです。
施設内虐待は,児童虐待防止法に規定はありませんが,高齢者虐待防止法に規定されています。
<今日の一言>
問題の難易度によって,合格基準点が上下するのはある程度仕方がないことだと思います。
「どんな勉強をしたら,99点を超えられるのか」という疑問を持つ人が多くなっているようです。
しかし・・・
冷静に考えてみましょう。
合格基準は,難易度によって上下しているのです。
合格基準はいつも6割程度です。
みんなが解ける問題が多ければ,合格基準点が上がります。
みんなが解けない問題が多ければ,合格基準点は下がります。
最も点数が低かった72点の国試も最も点数が高かった99点の国試も受験者の能力に違いはありません。
勉強すべきことはいつも同じです。
出題基準に示された範囲をしっかり覚えて,6割程度以上の得点を取ることです。
大丈夫。
このブログを見つけてくれて,熱心に読んできてくれた人はちゃんと望みがかないますよ。チームfukufuku21は,そうなると信じています。
信じない夢はかないません。
最新の記事
子ども・子育て支援法
子ども・子育て支援法は,これまでにも出題されてきましたが,正式に出題基準に含まれたのは,第37回国家試験です。 子ども・子育て支援制度は,市町村が実施主体になっています。 支給申請は,市町村に対して行います。 児童福祉法には,入所系があるので都道府県の役割がありますが,子ども...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
質的調査では,インタビューや観察などでデータを収集します。 その際にとる記録をフィールドノーツといいます。 一般的には,野外活動をフィールドワーク,野外活動記録をフィールドノーツといいます。 こんなところからも,質的調査は,文化人類学から生まれてきたものであることがう...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
ヒラリーという人は,さまざまに定義される「コミュニティ」を整理しました。 その結果,コミュニティの定義に共通するものとして ・社会的相互作用 ・空間の限定 ・共通の絆 があることが明らかとなりました。 ところが,現代社会は,交通手段が発達し,SNSやインターネットなどによって,人...
-
今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。 第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。 エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。 それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は...
-
絶対に覚えておきたい社会的役割は, 第1位 役割期待 第2位 役割距離 第3位 役割取得 第4位 役割葛藤 の4つです。 今回は,役割葛藤を紹介します。 役割葛藤とは 役割に対して葛藤すること 役割葛藤を細かく分けると 役割内葛藤と役割間葛藤があ...