2019年1月4日金曜日

虐待防止法の整理(3/3)

今回が虐待防止法の最終回です。

それでは,早速今日の問題です。

第29回・問題77 「高齢者虐待防止法」,「児童虐待防止法」及び「障害者虐待防止法」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「高齢者虐待防止法」における「高齢者虐待」の定義には,使用者による高齢者虐待が含まれている。

2 「障害者虐待防止法」における「障害者虐待」の定義は,特別支援学級教職員による障害者虐待が含まれている。

3 「児童虐待防止法」における「児童虐待」の定義には,保育士による児童虐待が含まれている。

4 設問に掲げた三法の虐待の定義には,いずれも,いわゆる経済的虐待が含まれている。

5 設問に掲げた三法の虐待の定義には,いずれも,いわゆるネグレクト(放置・放任等)が含まれている。

(注)1 「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2 「児童虐待防止法」とは,「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
3 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。 


虐待防止法の整理(1/3)の問題(第23回問題76)とそっくりです。
違いは,第23回国試の時は,まだ障害者虐待防止法は成立していなかったことです。

障害者虐待防止法が成立したのは,2011(平成23)年6月です。障害者権利条約を批准するための国内法整備の一環としてつくられました。

それでは解説です。


1 「高齢者虐待防止法」における「高齢者虐待」の定義には,使用者による高齢者虐待が含まれている。

これは間違いです。

使用者による虐待が含まれているのは,障害者虐待防止法のみです。


2 「障害者虐待防止法」における「障害者虐待」の定義は,特別支援学級教職員による障害者虐待が含まれている。

これも間違いです。

「障害者虐待」の定義は,養護者による障害者虐待,障害者福祉施設従事者による障害者虐待,使用者による障害者虐待です。


3 「児童虐待防止法」における「児童虐待」の定義には,保育士による児童虐待が含まれている。

これは間違いです。

「児童虐待防止法」における「児童虐待」の定義は,保護者(親権を行う者,未成年後見人その他の者で,児童を現に監護するもの)による虐待です。

保育士による虐待は定義されません。


4 設問に掲げた三法の虐待の定義には,いずれも,いわゆる経済的虐待が含まれている。

これも間違いです。

経済的虐待は,児童虐待防止法には含まれません。


5 設問に掲げた三法の虐待の定義には,いずれも,いわゆるネグレクト(放置・放任等)が含まれている。

これが正解です。

ネグレクトは,三法いずれにも含まれています。


<今日の一言>

今日の問題は,難易度はとても低いものです。

このような問題は必ず正解しなければならないものです。

とは言うものの,国試会場では冷静に問題を読むことができなくなっているので,普段はやらないようなミスを起こしてしまうものです。

ミスを防ぐ訓練として,何度も何度も今まで解いてきた問題であっても,一文一文をしっかり読むことを意識してみましょう。

毎年,合格点に数点の差で合格できないという方はかなり多いです。

そんな方は特に意識してみましょう。必ず合格基準点を超えるコツを会得できるはずです。

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