「社会調査の基礎」を苦手とする受験生は多いと思います。
苦手なものは勉強しても,学習効果が出にくいものなのかもしれません。
しかし,0点を1にすることはできますし,1点を2点にすることもできます。
3点を4点にすることも,4点を5点にすることもできます。
苦手意識さえなくなれば,得点は伸ばせます。
逆に得意な科目は,もともと点数が取れるので,7問の科目で,6点を7点満点にするのは簡単ではありません。最後の1点の上乗せは,限りなく多くの知識が必要だからです。
「社会調査の基礎」が難しく感じるのは,量的調査の検定の部分があるからでしょう。
しかし,量的調査でもそのほかの部分や質的調査はそんなには難しくはありません
今回も面接法を続けていきたいと思います。
前回の問題
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/blog-post_30.html
今日の問題は,構造化面接,非構造化面接,半構造化面接の意味を知っているかが正解にたどり着くポイントです。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題89 社会調査における面接法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 非構造化面接では,対象者に自由に回答してもらうことになるので,調査内容に精通していない調査員を採用して,面接を実施してもらうのがよい。
2 半構造化面接では,インタビューのおおむね半分程度の時間を,質問内容や質問の順番などが詳細に決められた質問紙によって面接が進められる。
3 面接における会話を録音できない場合には,正確な面接記録を作成するために,面接時はできるだけ会話の書き取りを優先しなければならない。
4 非構造化や半構造化で行われることが多いフォーカスグルーブインタビューでも,質問内容や討議のルールなどを示したインタビューガイドを準備する方がよい。
5 面接法では,対象者との間に十分な信頼関係を築くことが重要であり,いわゆるオーバーラポールの状態を目指すのがよい。
面接法は,第28回を出題された後は出題されていません。
しかしそれ以前は毎年のように出題されていました。
第28回は,グループインタビューの問題です。1問丸ごとの出題であり,前回紹介したようないろいろな要素をミックスしたものではありません。
3年間の過去問が完璧に解けても合格できない,という理由はここにあります。
この問題を間違った人の多くは,おそらく選択肢2の
半構造化面接では,インタビューのおおむね半分程度の時間を,質問内容や質問の順番などが詳細に決められた質問紙によって面接が進められる。
を選んだものと思われます。
国家試験には,この手の引っ掛けがときどき見られます。
「この手」とは,「半構造化面接」の「半」を指します。
半構造化面接とは,構造化面接と非構造化面接の中間にあたるものです。
構造化された(つまり事前に決めた)質問をいくつかしてから,そのあとは非構造化面接で進めていきます。
しかし,勉強不足の人は「半構造化」の意味がわからないので「半」という意味を考えます。そして選択肢2に引っ掛けられます。
「この手」の引っ掛け問題を見たら,とてもおかしくなります。
「試験委員は一生懸命考えたのだろう」
そして
「勉強不足の人はここに引っ掛けられるのだろう」
と思ってしまうのです。
実に上手に作ったと思いませんか?
正解は,選択肢4のインタビューガイドです。
インタビューガイドは,面接を進めるうえでの手引書です。
非構造化面接は自由面接です。だからと言って行き当たりばったりで進めるものではありません。
ソーシャルワークにも通じるものでしょう。
初回面接では,クライエントの話を傾聴することに努めますが,それ以降は何かの意図をもって面接をするでしょう。
話がずれた方向に向かった場合は,それを戻すのか,あるいはそのまま話をしてもらうのか,それもすべて意図的な面接です。
それがソーシャルワークの場面でできるのは,熟練しているためです。
質的調査の面接も目的をもって行われます。そのため,非構造化面接であっても,インタビューガイドは必要です。
<今日の一言>
ボーダーラインを大きく上回る人も大きく下回る人もいますが,それは受験生のほんの一部の人です。
多くの場合,合格するのも不合格になるのもほんの数点差です。
合否を分けるのは,今日の問題のようなタイプの問題に引っ掛けられることなく,得点することです。
勉強をまんべんなくしてきた人は,「半」構造化面接の意味は何となくでもつかめていることでしょう。
知識を積み上げてきた人は,合否を分ける1点2点をこういった問題から稼ぐことができます。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
国家試験は,ボーダーラインを超える点数を取ると合格できます。 国家試験が終わると,「勉強不足だった」という声が聞こえてきますが,すべての人が勉強不足だったとは思いません。 一番目に考えられるのは,問題を読む力が不足していた。 時間がなくなっ...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
参考書を開くと,人名が多く書いてあります。 すべて覚えなければならないのか,と思うと気が重くなると思います。 かつては,人名がわからないと解けない問題が出題されていましたが,今はほとんどなくなっています。 そのため,覚えるべきポイントは,人名よりもその内容だということにな...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
今回は,ピンカスとミナハンが提唱したシステム理論を取り上げたいと思います。 システム 内容 クライエント・システム 個人,家族,地域社会など,クライエントを包み込む環境すべてのも...
-
人名を覚えるのを苦手とする人は多いと思います。 しかし,人名問題は,出題ポイントが極めて明確です。 社会福祉士の国家試験は,単語カードを使って勉強するのに向きませんが,人名は,それも有効です。それほど覚えるべきポイントが明確であるということです。 ただし,これからの時期(国試ま...
-
社会理論や心理学理論でも人名が出てきますが,人名が分からなくて答えられないという問題は皆無に近いです。 それに対して,相談援助系 2 科目は,人名そのものが問われることもあります。 しかし出題されるのはほんの数名です。これだけは何とか覚えておきたいです。 ...
-
国家試験問題は,よく吟味して出題していると思いますが,それでも問題が不適切なものが出題されることがあります。 社会福祉士の国家試験では,そういった問題の場合は,全員に点数が与えられます。 その科目が0点だった人には,ラッキーですが,そうでない人にとって,よくないことです。 なぜな...