2019年1月30日水曜日

社会福祉士国試を初めて受験される方へのメッセージ

現在の社会福祉士国試は,今まで何度も紹介してきましたが,問題文がどんどん短くなってきています。

短くなったことは,文章の中に引っ掛けポイントをほとんど仕掛けられないことにつながります。

言い回しの難解さで,正解がわかりにくいものではなくなってきています。


「社会福祉士になる」という強い意志をもって勉強してきた人は,試験当日に大きな力を発揮できるのが今の国試です。

今は,緊張感が高まっていると思います。
それは誰もが通り抜けなければならない道です。

国試は,マーク式。問題文の中に必ず答えがあります。
覚えたことが頭のどこかに残っていれば,何となくでも答えを探り出すことができます。

名探偵になったつもりで,試験委員が仕掛けたトラップを見つけていきましょう。

文字数の制約のため,以前のように,二重三重にはトラップは仕掛けられません。

間違いを誘うような思わせぶりな表現もされにくくなっています。
知識だけで勝負できる条件が整っています。

あとは「自分を信じ切れること」です。

学習部屋では,今では入手困難な過去問もたくさん紹介してきました。

問題の読み解き方もたくさん紹介してきました。

どんな参考書が良いかも言わない,質問も受け付けない,一風変わったブログかもしれませんが,勉強部屋に訪れていただいたすべての人が合格できるように,チームfukufuku21の知恵を絞って,今まで情報を発信してきたつもりです。


自分を信じて,学習部屋を信じて,国試に臨みましょう!!

合格の扉は,今まさに開かれようとしています


さて,今日から質的調査に戻ります。


質的調査で用いられる主なものは

観察法,面接法,ドキュメント分析です。

そのうち面接法で出題される主なものは,

構造化面接法
非構造化面接法
半構造化面接法
フォーカス・グループインタビュー
ライフストーリー・インタビュー

ここに,観察法で紹介しなかった,アクション・リサーチを織り交ぜて出題されます。

構造化面接法の「構造化」とは,質問内容があらかじめ組み立てられていることを意味しています。

非構造化面接法は,質問内容が決まっていないもの
半構造化面接法は,構造化と非構造化の半分の要素をもったもの

グループインタビューは集団面接法,フォーカス・グループインタビューは同じような傾向をもった集団に対する面接法です。

ライフストーリー・インタビューは,調査対象者がインタビュアとの対話を通して,人生を語るものです。これの発展型とも言えるのがアクティブ・インタビューです。対話を通して,調査対象者の新しい気づき,新しい世界を構築するものです。語りを重視する面では「ナラティブ・アプローチ」と共通します。

アクションリサーチは,参与観察よりも調査対象に深くかかわり調査対象の問題の解決を目指すものです。

それでは今日の問題です。

第27回・問題89 調査の手法に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい

1 ライフストーリー・インタビューの実施において,構造化面接によって聞き取りを進めるのがよい。

2 質的データを収集するインタビューや観察などと,量的データを収集する質問紙調査などを組み合わせて行う調査の手法のことを,ミックス法という。

3 アクションリサーチでは,問題解決を目指すという価値指向的立場よりも,真理を追い求める理論的研究の立場が重視される。

4 エスノグラフィーでは,調査者の客観的立場を維持するために,参与観察によってデータを収集してはいけない。

5 フォーカスグループの活用においては,グループとして一致した意見をとりまとめることよりも,異なる意見が幅広く収集されることが期待される。

問題の難易度は高めです。

内容を読むことに夢中になって,2つめを選ぶのを忘れないようにしましょう。

それでは解説です。


1 ライフストーリー・インタビューの実施において,構造化面接によって聞き取りを進めるのがよい。

これは間違いです。

ライフストーリー・インタビューは対話で行われるので,非構造化面接です。


2 質的データを収集するインタビューや観察などと,量的データを収集する質問紙調査などを組み合わせて行う調査の手法のことを,ミックス法という。

これが正解です。

ミックス法は,この時の一回しか出題されたことがないものです。
しかし,正解になっているので,今後注意が必要なものとなります。しっかり覚えておきましょう。


3 アクションリサーチでは,問題解決を目指すという価値指向的立場よりも,真理を追い求める理論的研究の立場が重視される。

これは間違いです。

「よりも」は間違いになりやすいものですが,アクションリサーチは,問題解決を目指すものです。真理を追い求める理論的研究は重視されるものではありません。

4 エスノグラフィーでは,調査者の客観的立場を維持するために,参与観察によってデータを収集してはいけない。

これも間違いです。

エスノグラフィーの本来の意味は「民族誌」です。観察法が文化人類学から発展したことを思い出させます。現代のエスノグラフィーは,参与観察などで得られたデータ一般をさします。

5 フォーカスグループの活用においては,グループとして一致した意見をとりまとめることよりも,異なる意見が幅広く収集されることが期待される。

これは正解です。

フォーカスグループインタビューはいつも「グループとして合意形成を目指す」といった間違い選択肢として出題されることが多いですが,グループ討議ではないので,そのようなことを目指すものではありません。


<今日の一言>

今日の問題では,ミックス法は正解として出題されました。

しかし,ミックス法は,言葉だけでは意味をつかむことができません。

国試ではこういったところがねらわれます。

半構造化面接もそうです。

勉強をした人はわかっても,勉強が足りない人は見当もつかないでしょう。

こういったところから合否がわかれていきます。

勉強をした人でも解けない問題はあります。
しかしそんな問題は勉強が足りない人はもっと解けないものです。

眠くて辛くても勉強を続けてきたあなたには,合格への道がつながっています。

試験委員が仕掛けたトラップもうまく避けることができるでしょう。

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